忍夢と僕・2
□僕とキバと赤丸
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羅《「「大丈夫か…?」」》
『「「少しキツいかな。…頼みがあるんだが、何か食べ物を探してきてくれないか?できれば、肉以外のものがいい…。赤丸を見たあとだしな」」』
羅《「「構わないが、何かやることでも?」」》
『「「…キバの足、痛そうだったから。薬草を探してくる…」」』
羅《「「ならば、またここで落ち合おう」」》
役割分担をした僕達は、早速取りかかることにした。
運が良いことに、穴場を見つけ、大量に薬草を持ち帰る。
『(効くといいが…)』
あの腫れかただと、多分ヒビが入っているだろう。
歩くのも辛いはずだ。
薬草を石で磨り潰し、それを布に包んだら、寝床を確保し、効果が薄れる前にキバに渡しに向かう。
正直会うのは気まずいが、これ以上赤丸に心配をかけてほしくない。
『今いいか?』
牙「えっ、あぁ…」
声をかけられて驚いたのか、三人とも動かしていた手が止まってしまった。
『…これ、足に巻いてろ。ハッカ成分が含まれている薬草を使っているから、湿布と同じ効果がある。…ただ、鼻が利くお前にとって少々臭いがキツいかもしれないがな…』
牙「……なんでそんなことすんだよ。…散々喚き散らしたし、それに…」
『もう終わったことだ。今さら掘り返しても意味はないだろう?…口が悪い僕にも非がある。もっと言い方を考えればよかったんだろうけど…』
牙「ナルトのことか…?」
『…あぁ。…久しぶりに会えたと思えば、アカデミーでは偽りの姿で通っているときた。…僕からすれば、それは気分が悪いことこの上ない。…だが、今のナルトが素の姿なんだ。あいつを元に戻したのは間違いなく僕だし、責めるなら僕だけにしてほしい…』
牙「素の姿って…、俺にはわかんねぇよ…」
『……あいつを見ていれば、そのうちわかる。…イノ、チョウジ。それにキバ…。あの時は本当にすまなかった。…よければ、ナルトを嫌いにならないでほしい。僕が言いたいのはそれだけだ…』
胸にあったことを伝えた僕は、寝床へと引き返した。
前にシカマルから聞いた話だが、ナルトと仲が良かったキバとチョウジは、よく一緒に授業をサボったり、遊んだりしていたらしい。
例え、それがナルトの偽りの姿だったとしても、その日常を奪ったのは僕だ。
だが、そのまま毎日をすごせば、ナルトは自分を忘れ、本当のナルトを知った時、傷つくのはキバ達だろう。
互いが苦しむ結果となるのだ。
また仲良くしてくれるのなら、今度は今のナルトと遊んでほしい。
伝わっていれば、の話だが。