忍夢と僕・2
□僕とキバと赤丸
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夜になり、就寝の時間を迎えた僕達だったが、聞こえてくる寝息もイビキも子守唄にはならず、眠れなかった僕は羅月と散歩に行くことにした。
天気がいいのか、月に照らされる森は明るい。
少しばかり広がっている草原にでた僕達は、適当な場所で寝転がり、羅月の腹を枕にし月を見上げる。
『…護衛はいいのか?』
鳴「なんでわかったの?」
『匂いで、な…』
鳴「そっか…。いやさ、眠れないのかなと思って…」
『…もともと僕は、深い眠りにつく方ではない。気にするな…』
静かに隣に腰を下ろしたナルトを見れば、暗部着に面をつけたままだった。
変化をとかないということは、長居をするつもりはないのだろう。
鳴「…なんでキバにあんなこと言ったんだ?俺を嫌うなってさ…。自分のことは?…柚姫は嫌われてもいいの?」
『……僕が人間嫌いなのは、出会った頃から知ってるだろう。好かれたいわけじゃない、付き合うのに必要なら、そうするだけのことだ…。非があると認めたから謝った。それ以上も、それ以下もない…』
鳴「ふーん…そっかぁ…」
そう言い、小さく笑うナルトに、僕と羅月は首を傾げる。
『何がおかしいんだ?』
鳴「……俺は特別で良かったなと思って。…そういう風に思われてたら、きっと生きていけない…。柚姫には、俺だけでいいよね?…シカマルとサスケも大事だけど、でも特別じゃない。…神様は、俺しか見えていないはずだから。それに、指切りもしたしね…」
『――っ、お前……』
鳴「じゃ、仕事に戻る。…あ、そうだ。さっき、小さいのとすれ違ったんだけど、もしかしたらここに来るかも。…また明日ね、おやすみ」
笑みを溢しながら瞬身でこの場から去ったナルトを、僕は呆然と見送ることしかできなかった。
羅《…特別って、なんの話だ?》
『まだ記憶が戻ってなかった時、化け狐と罵られていたあいつに、僕は化け物であいつも化け物なら、周りと違う僕達は…特別だな…と言ったんだ…』
羅《……指切りというのは?》
『総隊長になってもいいが、その代わり死ぬな。友ならば、寿命がくるその日まで生きると誓え…。そう言って、約束を……』
羅《なんてことだ…。それは、約束ではなく「契約」だ。お前にそのつもりはなくても、ナルトはそう思ってるだろう…。あの様子では、特別の意味もわかっていない。…お前のことだ、そういう意味で言ったのではないのだろう?》
『あぁ…。僕はただ、もしあいつが人間でないのなら、僕と同じで異端な者だという意味で…』
今思い返せば、あの頃のナルトは言葉を知らない。
そんなナルトが、僕の言葉を理解できるはずがないじゃないか。