忍夢と僕・2

□僕とキバと赤丸
6ページ/13ページ

夜になり、就寝の時間を迎えた僕達だったが、聞こえてくる寝息もイビキも子守唄にはならず、眠れなかった僕は羅月と散歩に行くことにした。

天気がいいのか、月に照らされる森は明るい。

少しばかり広がっている草原にでた僕達は、適当な場所で寝転がり、羅月の腹を枕にし月を見上げる。

『…護衛はいいのか?』

鳴「なんでわかったの?」

『匂いで、な…』

鳴「そっか…。いやさ、眠れないのかなと思って…」

『…もともと僕は、深い眠りにつく方ではない。気にするな…』

静かに隣に腰を下ろしたナルトを見れば、暗部着に面をつけたままだった。

変化をとかないということは、長居をするつもりはないのだろう。

鳴「…なんでキバにあんなこと言ったんだ?俺を嫌うなってさ…。自分のことは?…柚姫は嫌われてもいいの?」

『……僕が人間嫌いなのは、出会った頃から知ってるだろう。好かれたいわけじゃない、付き合うのに必要なら、そうするだけのことだ…。非があると認めたから謝った。それ以上も、それ以下もない…』

鳴「ふーん…そっかぁ…」

そう言い、小さく笑うナルトに、僕と羅月は首を傾げる。

『何がおかしいんだ?』

鳴「……俺は特別で良かったなと思って。…そういう風に思われてたら、きっと生きていけない…。柚姫には、俺だけでいいよね?…シカマルとサスケも大事だけど、でも特別じゃない。…神様は、俺しか見えていないはずだから。それに、指切りもしたしね…」

『――っ、お前……』

鳴「じゃ、仕事に戻る。…あ、そうだ。さっき、小さいのとすれ違ったんだけど、もしかしたらここに来るかも。…また明日ね、おやすみ」

笑みを溢しながら瞬身でこの場から去ったナルトを、僕は呆然と見送ることしかできなかった。

羅《…特別って、なんの話だ?》

『まだ記憶が戻ってなかった時、化け狐と罵られていたあいつに、僕は化け物であいつも化け物なら、周りと違う僕達は…特別だな…と言ったんだ…』

羅《……指切りというのは?》

『総隊長になってもいいが、その代わり死ぬな。友ならば、寿命がくるその日まで生きると誓え…。そう言って、約束を……』

羅《なんてことだ…。それは、約束ではなく「契約」だ。お前にそのつもりはなくても、ナルトはそう思ってるだろう…。あの様子では、特別の意味もわかっていない。…お前のことだ、そういう意味で言ったのではないのだろう?》

『あぁ…。僕はただ、もしあいつが人間でないのなら、僕と同じで異端な者だという意味で…』

今思い返せば、あの頃のナルトは言葉を知らない。

そんなナルトが、僕の言葉を理解できるはずがないじゃないか。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ