忍夢と僕・2

□僕とシリーズ・カカシ視点・1
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「(…ごめん、ナルト。こんな俺を許してくれ)」

見ていられなくて、静かに泣くナルトから目をそらした。

どんなに優秀だと言われても、俺はそうは思わない。

こんなにも、無力なんだから。

鳴「んっ…あっありがとうっ…ありがとぉ…ありっありがとうっ」

自分自身に毒を吐いていると、静かに泣いていたはずのナルトが突然大声をだした。

しかも、その言葉は、まるでそこに誰かがいるかのような。

目を凝らすと、ナルトの隣に誰かいるのが見える。

「(――っ!?チャクラを感じない!?一般人なのか!?)」

木の葉に住む一般人で、ナルトを好む者など誰一人いないはず。

奇跡が、起きたのだろうか。

それとも、夢?何もできないくせに、神頼みばかりする俺への罰?

どうか、これが現実であってほしい。誰でもいいから、ナルトの隣に居てくれるのならそれでいいんだ。

でも、それが四代目火影である波風ミナト、先生の遺産だからと近づいた者ならば、俺は。

「(…貴様を、葬る)」

僅かな期待と不安を胸に、俺は自宅へと帰った。

「(…一応、火影様にも報告しとこう)」

ナルトの事を、孫のように可愛がる三代目火影の猿飛ヒルゼン。

彼は、先生が亡くなってからまた火影の座に戻った。

度々、ナルトが九尾について訪ねているのを見かけたことがあるが、火影様は悲痛に顔を歪めながらも、なんとか誤魔化している。

隠し通すつもりなのだろう。

ナルトが可愛くて仕方ないのだ。

気がつけば、もう朝になっていた。結局眠ることができず、また準備をして任務に向かう。

目指すは、火影邸。

火影様に挨拶をし、屋根裏に身を潜め訪問者の顔をすべて把握する。

これも、仕事の一つだ。

暗部といっても、暗殺だけが仕事ではない。

大名や貴族、火影様の護衛など様々な任務がある。

屋根裏から見えるのは、報告書を提出に来た忍や、外出許可を貰いに来た一般人。

書類を整理する火影様や、ナルトの姿。

「(…ん?ナルト?)」

気がつけば、そこにはナルトの姿があった。

隣には見たことのない女の子が立っている。

彼女は、どうも口が達者のようだ。

部屋に訪れていた忍をあっという間に怒らせてしまった。

『…申し訳ないが、ナルトのことでそこの火影に話がある。人払いを頼もうか…』

火「よかろう…。して、話と『まだ、…いるだろう?』

一瞬、痛いくらいに心臓が跳ね上がる。

俺の気のせいじゃなければ、彼女がこちらを見た気がしたのだ。

「(…まさか、な)」

火影様の合図でその場を去った俺は、まだうるさい心臓に手の平をかざす。

しばらくして、2人が帰っていくのが見え執務室に戻れば、何か様子がおかしい。

「火影様、…いったい何が?」

火「…ナルトを、壊してしまったかもしれん」

そう言い、俺の顔を見るが、その目は火影ではなくただの老人だった。

「しっかり…してください…」

火「…ナルトが、九尾のことを特別だと言いおった。それを否定したんじゃが、彼女に怒られてしまったわい。自分が化け狐と呼ばれる理由を知らないナルトに対して、それを否定するのは、ナルトの存在そのものを否定したも同じだ、とな…」

「――っ…」

そこまで考えたことがなかった俺は、その言葉を口にした少女に驚きを隠せない。

さっきまでここにいたあの子は、どう見てもナルトと変わらない歳だ。

火「歳をとると、どうも涙腺が弱くなるのぉ。…今日の任務は切り上げてよいぞ。少し、一人になりたい…」

「…御意」

そう言うと、火影様はすぐに背を向けた。肩が震えている。

俺は、静かにその場を去った。
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