忍夢と僕・2
□僕とシリーズ・カカシ視点・1
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あれから、数ヶ月がたった頃。
任務帰りに、久しぶりにナルトの姿を見かけた。
隣にはあの子もいる。
「(こんな真夜中に、どこに行くつもりだ?)」
人気のない道を歩く2人が心配になり、こっそりと跡をつけた俺は、辿り着いた場所を見てすぐに立ちふさがった。
「ここは立ち入り禁止区域だ。よっぽどのことがない限り、暗部の者以外は入れない。帰るんだ」
「死の森」と呼ばれる場所があるのだが、一般人の立ち入りは禁止されている。
そんな場所に、2人は入ろうとしていたのだ。
『どうしてもこの森に用事があるのだが…』
「…聞いてなかったのか?暗部以外は入れない。一般人は立ち入り禁止だ」
鳴「…暗部なら誰でも入れるの?」
「いや、死者が出る可能性もあるから、実力がある者のみだ」
鳴「…そっか。帰ろ?」
『えっ、あっあぁ…』
まだ幼い二人だから、色々と駄々をこねると思っていたが、そういう素振りは見せずに来た道を引き返していく。
そんな2人の背中を見つめながら、俺はその場から動けずにいた。
ナルトの雰囲気が変わっていたのと、少女の顔を初めて見たせいなんだろうけど。
ナルトを壊してしまったかもしれない、と火影様は言っていたが、妙に納得がいった。
それに、あの子。
歳に似合わず、大人びた雰囲気を纏っている。
無意識に、綺麗な子だと思った。
きっと、疲れているんだ。
ここ最近、難易度の高い任務ばかりをこなしていたから。
今の総隊長は自分を可愛がる奴で、危険な任務は、修行だと言って部下に行かせる。
火影様も頭を悩ませているが、木の葉は人手不足。
そう簡単には辞めさせられない。
「(任務の報告しなきゃ…)」
やっと動けた俺は、急いで火影邸に向かった。
執務室に着いて報告を終え自宅へ帰ろうとしたが、先程のことを思い出し立ち止まる。
「…火影様、死の森付近にナルトがいました。あと、彼女も…」
火「それで、中に入ったのか?」
「いえ、立ち入り禁止だと伝えたら帰りましたよ…」
火「そうか…」
「一つお聞きしたいのですが、…彼女は何者なんですか?木の葉の者ではないですよね?」
聞いてはいけなかったのだろうか。火影様は何やら考えている。
そして、片手を上げ近くにいた暗部を引かせると結界を張った。
火「…カカシよ、お主の意見を聞きたい。…どこまで信じるかは、自分で決めるのじゃ」
「どういう意味ですか?」
火「まず、彼女の名前は狼神柚姫。歳はナルトと同じじゃ。…お主の言う通り、彼女は木の葉の人間でない上に、他里の人間でもない。…半年ほど前、柚姫は空から降ってきた。これはナルトが証言しておる。…異世界から来た、と…」
「――っ!?異世界って…、実在するんですか!?」
火「わしにもわからん。というのは、柚姫にはニオイがなくての。確かめようがないんじゃよ。…ニオイがないのであれば、人でも獣でもないと言わざるおえん。…言うなれば、柚姫は何者でもない」
理解ができなかった。
異世界だの何者でもないだのと、そんなことがあり得るのだろうか。