忍夢と僕・2
□僕とシリーズ・カカシ視点・1
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火「皆、よく聞くのじゃ。…空、よいぞ」
火影様の隣に立っている空総隊長は、一歩前へ出て全員の顔を見る。
空「…狼神柚姫という少女が里を出た。特徴は、銀に紫がかった髪に、身長は低め、喋り方は独特で…。とにかく!!…急いで捜索にあたってほしい。休みの者まで召集して申し訳ないが、どうか頼む…」
「「「御意!!」」」
頭を下げられては、何も言えない。というより、空総隊長だからこそ誰も文句を言わないのだ。
それよりも、俺は内心焦っていた。
彼女は異世界の人間。
それなのに、一人で行動しているなんて。
危険すぎる。
「(――っ!!…考えるな!!)」
スピードをあげ、頼りの髪色を目印に闇雲に探し回った。
だが、見つからない。
そしてとうとう、一週間がたち捜索は打ち切りとなってしまった。
「空総隊長!!俺だけでもいいから、探させて下さい!!なぜ打ち切りになんかしたんですか!?」
皆が帰ったあと、俺はすぐに空総隊長の元へと行き、任務続行の許可をもらおうと頭を下げる。
空総隊長は、ゆっくりと振り返ると首を横に振った。
空「…捜索は中止だ。明日から、また任務に戻る」
「――っ、なぜですか!?」
空「情報が入った。…何やら、やることが出来たらしい。だから待て、ってな」
「彼女はまだ8歳ですよ!?…一人で行動しているだなんて危険すぎます!!」
空「…お前、柚姫を知っているのか?」
「えっ?あっ…。…たまに、うずまきナルトと一緒に居るのを見かけていたので。ナルトが、また独りになってしまう…」
空「………うずまきナルトは心配ない。彼も探していたようだったから、待つようにと伝えてきた。納得はしていなかったが、とりあえず少しは落ち着いたみたいだ」
「そう…ですか…」
空「この話はこれで終わりだ。今日はもう帰って休め。俺は今から任務に向かう…。じゃぁな」
「気をつけて…」
空総隊長を見送り、壁に寄りかかった俺は、面を外しため息をつく。
ただ待つだけなんて、生殺しだ。
だが、ナルトは待つと決めた。
なら、俺もそうすべきなんじゃないかと思う。
辛いことには変わりないが、俺だけじゃないんだ。
きっと、一緒にすごしていたナルトの方が辛いに決まっている。
いつか帰ってくることを願い、俺はまた任務に没頭する日々を送った。
それから、1年がたち、2年が過ぎた。
さらに待ち、もう3年になる。
柚姫はまだ帰ってこない。
一日も忘れた日などなかった。
ただひたすら無事を願い、いつものようにナルトの様子を見に行く。
ナルトは、しばらくの間呆然としていた。
ベッドの真ん中で寝ることはなく、いつも窓際で眠っている。
いつ戻ってきてもいいように、柚姫の寝る場所を空けているのだろう。
それを3年。
ナルトは欠かさずにそうしてきた。
今日から2週間、俺は長期任務に就く。
しばらくはナルトの様子も見に来れない。
「(…ナルト、行ってくるな)」
その場を去り、仲間と合流した俺は、木の葉を出て闇夜を駆け出した。