忍夢と僕・2
□僕とストーカーとおやつ
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「柚姫は、きっとその二人の助けになってるよ。確かに孤独は怖い。俺も、大切な人と離ればなれになったとき、胸が張り裂けそうになった。その感覚は、いまだに焼き付いているし忘れられるもんじゃない。…後悔したって、遅いときもあるしな」
ふと、太郎さんを見上げれば、その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
きっと、この人はたくさんの後悔をして、たくさん傷ついて、今もなおそれと戦っているのだろう。
「歳が離れているせいか、柚姫が妹のように思える。…失礼かもしれないが、柚姫は孤児なのか?」
『あぁ…』
「そうか…。もしよければだが、木の葉にいる間はこうして話し相手になってほしい。いいか?」
『構わないぞ』
人の第一印象なんて所詮作られたものだが、太郎さんはそんなんじゃないと思わされた。
何かから逃げてすごす奴より、何かと戦いながら生きている者は嫌いじゃない。
太郎さんは、後者の人だ。
ラーメンを食べ終え、僕達は帰っている真っ最中。
何も会話はないが、心はやけに落ち着いていた。
「さて、ここでさよならだ」
『もう行ってしまうのか?』
「…明日、アカデミーが終わったら甘味屋においで。どういうことをしたのか、話を聞かせてくれないか?」
『わかった!!』
「じゃあ、また明日な。おやすみ、柚姫」
『おやすみ、太郎さん!!』
手を振り、僕はナルトの家に小走りで向かう。
『(何と戦ってるんだろうな…)』
なんて考えてみたが、わかるはずもなく。
ふと、甘味屋で何時に待ち合わせか聞いていないことに気づき、太郎さんの背中に声をかけようと振り返った。
『(いない…)』
しかし、すでにそこには姿はなく、立っていたのはタマなし覆面。
案「あれ、柚姫ちゃん!!珍しいねぇ、一人で外歩いてるなんて」
『ナルトは忙しいんだから仕方ないだろう!!好き好んで一人で歩いてるわけではない!!』
案「そんな怒らなくてもυ暗くなってきたし、家まで送ろっか?」
『…頼む』
やはり、独りは嫌いだ。
隣を歩くのが例えタマなし覆面だとしても、話し相手がいないよりはいい。
案「…柚姫ちゃん、誰かと一緒にいた?」
『なぜだ?』
「…いやね?なんか匂いが『黙れ変態!!埋めるぞタマなし!!』
案「ちょっ!?勘違いされるからやめて!!そういう意味で言ったわけじゃないから!!」
『なら、言い方を考えろ…』
案「すいません…υ」
相変わらず、こいつといるとペースが崩れてしまうが、気がつけばもう家の前についていた。
案「じゃ、今から任務だから。またね、柚姫ちゃん」
『あぁ、気を付けるんだぞ』
そして僕は、なんだかんだカカシに優しくなったような気がする。
こうやって変わっていくのだろうか、なんて考えながら、ゆっくりと風呂に入りベッドへとダイブした。
明日はアカデミーだ。