忍夢と僕・2
□僕とストーカーとおやつ
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アカデミー終了後、みんなを無視しすぐに甘味屋へと向かった僕は、太郎さんが食べた数を見て素直に驚いた。
『おい、団子何本目だ?』
「8本目だが…」
『口の中の味を変えようとか思わないのか?』
何本も同じものを口にできるなんて、すごすぎる。
『…で、僕の団子は?』
「柚姫の分まで注文したら、カピカピに乾いて美味しくなかったかもしれないぞ?」
『ゔっ…υカピカピは困るυ』
「団子はまだまだたくさんあるんだ。さっ、注文するぞ」
向かい側へと腰を下ろし、お茶を一気に飲みほした。
勿論座っている場所は、奥の角っこだ。
「アカデミーはどうだった?」
『今日は演習と分身の術の復習をやった。はすけって子と組んだんだが、…こいつが嫌に負けず嫌いでなυ何度勝負を持ち掛けられたことか…』
「柚姫も中々の負けず嫌いに見えるがなυはすけって、昨日話していた孤児の子か?」
『そうだ。…まぁ、はすけの場合、身内が一人いるんだがどこか遠くに行っているそうだ』
「…もしかして、はすけではなく…サスケ?」
『――っ、知っているのか!?』
「…やっぱりそうか。うちは一族の事件は、どこに行っても耳にしていたからな。今でもそれは変わらないが。…はすけとはあだ名なのか?」
なんだ、知り合いかと思った。
『さ行が苦手なんでな…』
「まっ、まぁ人には不得意は付き物だ!!さっ、団子がきたぞ。食べよう」
『いただきますっ!!』
どこに行っても、か。
僕は話を聞いただけだし、集落にある傷跡を見ただけだから、どれだけ悲惨なものだったかは生き残りであるサスケか、逃亡中の兄か、事件現場を目の当たりにした忍や火影くらいしかわからないだろう。
噂は噂を呼ぶ。
話す人によっては、それが全く別物になることも。
人はそれを、「話を盛った」と言うのだろうが、だからこそ噂は所詮噂にすぎない。
「それで、分身の術はみんな何体だせるんだ?」
『平均で5体かな。最近、演習と分身の術の復習ばかりでつまらん。前までは、追跡の授業とか色々あったんだが…』
「同じことをするのは確かにつまらんな。だが、卒業試験近いんだろう?」
『あぁ…。それが?』
「俺からすれば、柚姫の担任はよっぽどお人好しだな。多分、卒業試験は分身の術だろう」
『…………おぉ!!!!なるほど!!!!確かにイルカ先生は、超がつくお人好しだ!!!!そういうことだったのか…』
「わかりやすい先生だな」
そう言い、笑う太郎さんを見て誰かと重なって見えた。
それが誰なのかはわかってはいるが、そんなことがあるはずがない。