忍夢と僕・2
□僕とカエルとナメクジ
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自「何やら騒がしいのぉ…。空、お前の声が下まで聞こえたぞ?」
そう言いながら、部屋へと入ってくる男に驚いたのは綱手だ。
綱「じっ、自来也!!なぜお前がここに…」
自「久しぶりだな、綱手。…んで、その子が柚姫か?」
黙って頷く火影に、嫌な予感がする。
まさかだとは思うが、どうかその口を閉ざしたままにしてほしい。
自「…綱手よ、柚姫の護衛はカカシと自来也を含めたスリーマンセルで行ってもらう。…念のために、じゃ」
あぁ、やっぱりこうなる。
『冗談じゃない!!僕は嫌だからな!!3人も必要ない!!』
火「最初はわしもそう思ったんじゃが、お主は頭が良い。…綱手の腕を信用してないわけではないが、先程も言った通り「念のため」じゃよ…」
『――っ…、何が念のためだ…』
火「困ることでも…?」
『別に…』
火「なら、この話はこれで終わりじゃ。…自来也、綱手、カカシ…頼んだぞ」
「「「御意」」」
ダメだ、今の顔は誰にも見せられない。
かなりの動揺と焦りが滲み出ているはず。
火影の質問に、強く心臓がはねあがった。
『(気づき始めている…)』
恐らく、ナルトといる理由や、砂の里に行った理由、ここまでくると他のことも。
薄々であってほしいが、「困ることでも…?」と聞いてきた火影の目は嫌に真剣だった。
『(確信に近いのか、それとも…)』
すべてを知ったのか。
どちらにせよ、今のままではマズイ。
外で待っていた羅月も、僕の顔を見て眉を寄せる。
羅《「「…どうしたのだ?」」》
『「「火影が色々と勘ずいているかもしれない…」」』
獣語で話す僕に、自来也が目を細めたのがわかった。
言葉が通じない以上今の僕には関係ないが。
『「「今回の件で、この3人が僕の護衛に就いた。このままでは動くことができん…」」』
羅《「「厄介なことになったな…」」》
獣語のおかげで羅月とはこれからの事を話せるが、問題は鬼人のこと。
綱手が泊まっている宿屋へと連れていかれる道中、僕の頭の中は真っ白だ。
夜になり、部屋の中には僕と羅月と綱手だけとなった。
カカシは暗部の任務に行き、自来也は取材だとか。
綱「さて、改めて自己紹介でもするか。…私の名は綱手だ。自来也とは昔っからの付き合いでな。…まぁ、年齢は聞くな!!」
あまり話す気分ではないのが本音だが、ずっと黙っておくわけにもいかないだろう。
これ以上、怪しまれるわけにはいかない。