忍夢と僕・2
□僕とカエルとナメクジ
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まだ陽も上っていない頃、やはりと言うべきか目を覚ました。
あまり深く眠れなかったのもあるが、人の気配がしたのだ。
毛布から顔をだし部屋を見渡してみれば、机を挟み座り込む自来也と綱手の姿が見える。
僕が起きていることに気がついていないようだ。
自「話を聞いてきたが…、なんとも言えん…」
どうやら、取材というのは嘘だったらしい。
綱「…三代目がこれほどまで神経を尖らせているんだぞ?」
その言葉に眉を寄せた僕は、小さくため息をついた。
やはり、火影は気づいているらしい。
最近、僕を見る目が変わり始めているとは思っていたが、羅月を執務室に入れないくらいだ。
もはや、敵視されていると考えた方がいいだろう。
自「…一応ナルトにも確認したが、空から落ちてきたのは間違いないようだしのぉ…」
綱「しかし、木の葉から出すなと言われてもな。12歳の女の子だぞ?気が引けるというか…」
自「気持ちはわからなくもないが、あの言葉…。あれが三代目が言っていた獣語なんだろうが、…確かに聞いたこともない言葉だった…」
綱「だから、三代目は九尾と会話ができるかもしれないと、疑っているわけだろう?」
『(バレてる……)』
いや、違う。
僕がミスを犯したのだ。
ナルトが地下牢に閉じ込められていた時、火影がいるにも関わらず妖狐と話してしまったではないか。
綱手と自来也の顔つきが変わったのを横目に、またため息がでた。
木の葉では、妖狐の存在は「悪」だ。
その妖狐と話せるとなれば、僕の存在も「悪」となる。
自「もしそうだとしたら…」
綱「…あぁ、そうだな…」
『(そろそろ潮時かもしれないな…)』
行動にでるしかないだろう。
『……おい、そういう会話は外でしろ。僕は起きてるぞ…』
「「――っ!?」」
『…ったく、この里の忍はどうなっているんだか…』
カカシは任務を放棄するし、ナルトは暗部だとバレた。
火影はちょいちょい口を滑らすし、綱手と自来也にいたっては警戒心が足りなさすぎだ。
『お前達はさぞ強い忍なのだろうが…。綱手、僕は言ったはずだ。忍は多くを語ってはいけない、と…』
綱「お、起きてるならこっちに来たらいいじゃないか!!υ」
自「達が悪いのぉ、…お前υ」
毛布からモソモソと這い出た僕は、天井に向かってグッと背伸びをする。