忍夢と僕・2

□僕とカエルとナメクジ
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『……真似をするならばこう言おう。…僕はお前達の言う九尾と話せるぞ?』

ニヤッと笑う僕に、綱手と自来也は顔を歪めた。

そして、すぐに臨戦態勢へとはいる。

『…忍が多くを語ればこうなる。…さて、僕を殺すのか?』

自「必要ならば、な…」

『己の力を過信するな。お前達では僕の体に触れる前に死ぬ…』

羅月に肉を食い千切られるか、鬼人に魂を食われるか。

どちらにせよ、戦うというのなら容赦なく鬼人を呼び出す。

『…あっ、そうか。最初からそうすれば良かったんだ…』

僕の意図を読んだのか、羅月は黙って頷いた。

羅月自身も、この方が早いと思ったのだろう。

自分から喧嘩を吹っ掛ければよかったのだ。

里も出やすくなるし、綱手や自来也がやられたとなれば、それ以上の力の持ち主でないと僕を追ってこない。

しかし、木の葉は人手不足。

そういう人材は危険な任務に駆り出されているはずだ。

しばらくは、追っ手も来ないだろう。

『…僕の話を聞いていた暗部が火影に知らせに行ったようだな。…これは厄介だ。そう思わないか?羅月』

羅《そうだな、これはさっさと木の葉を出た方が良さそうだ》

自「そうは…させんっ!!」

二人同時に攻撃を仕掛けてくるが、僕が羅月に股がる方が早かった。

窓ガラスを割り、外へと飛び出す。

『もう来たのか…』

僕達の目の前に立ち塞がる暗部の中には、カカシの臭いもあった。

案「お願いだ、このまま大人しく捕まってくれ!!…俺は柚姫ちゃんを…――っ、殺したくない!!」

『黙れ!!僕は木の葉の人間ではない!!出るも入るも自由だ!!邪魔するな!!』

カカシ達を軽々と飛び越えた羅月は、そのまま一気に走り出す。

屋根へと飛び移りながら、遠くに見えるカカシに叫んだ。

『僕を追うんじゃない!!火影にもそう伝えろ!!』

そして高く飛躍した羅月は、木の葉の外壁を越え森へと入る。

羅《まだ追ってくるか…》

綱手と自来也率いる暗部数名は、羅月に追いつこうと必死になっているようだ。

『…とりあえず、ここは木の葉から近すぎる。一暴れするならもう少し広い場所を探そう…』

羅《そうだな…》

妖狐が守ってきた大地を傷つけたくはない。

少しスピードを落とした羅月は、相手に姿を確認させるように走り始めた。
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