忍夢と僕・2

□僕とシリーズ・ナルト視点
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案「………ナルト?」

「なぁ、柚姫は来てるか!?」

案「…柚姫?誰、それ…」

「――っ!!どこにもいねぇんだよ!!ここじゃないなら、どこにいんだ!!」

案「ちょっ、落ち着いて…。誰か知らないけど、俺の家に女の子が来たことはないよ?」

ダメだ、諦めるな。

夢なんかじゃない、夢じゃないんだ。

「でもっ…」

カカシの顔を見て、一気に血の気が引いた。

あぁ、本当に知らないんだ。

陸「にぃにー?」

案「……リクが呼んでるから、もう戻るけど…大丈夫か?」

「リク…?あぁ…、保護した子?」

案「そっ。…いいかな?」

「朝っぱらからごめん…」

アパートを出て、次に向かうは火影の所。

最後の望みだ。

暗部の姿に変化しながら火影邸へと足を踏み入れ、執務室の扉を蹴り飛ばす。

火「なっ、何事じゃ!!」

「……柚姫は?」

部屋の中には、自来也と綱手の姿もあった。

火「柚姫…じゃと?空よ、誰のことを言っている……」

「しらばっくれるな!!今度はどこに行ったんだ!?また隠してんのか!?」

綱「お、落ち着け!!いきなり部屋に飛び込んできて、私達に挨拶もなしか?」

自「綱手の言う通りだ。礼儀がなっとらんぞ、馬鹿もん…」

「…そ…んな…――っ………」

誰も、柚姫を知らない。

柚姫は木の葉に存在していなかった。

なら、どうして俺はあんな夢を見たんだ?

どうして…。

この場に居るのが嫌になった俺は、瞬身の術で火影岩へとやってきた。

岩の上に立ち、木の葉を見下ろす。

たくさんの思い出があるはずなのに、何もなかったんだ。

憎い、木の葉が憎い。

残酷な夢を見させた木の葉が憎くてたまらない。

壊したい、こわしたい、コワシタイ…。

里を睨みつけていると、突然立っていられないほどの腹痛と頭痛が襲いかかってきた。

「なんだ…よ…これっ!!!!」

頭が割れる、腹が裂ける。

身体中が痛い。

どこを押さえればいいのかもわからなくなり、とうとう地面に倒れてしまった。

狐《…落ち着け、小僧…。私に負の情を流すな…。すべてを壊したくなる…》

頭の中で聞こえてくるその声は、低い唸り声をあげながら、また俺の体に痛みを与える。

「まさ…か……九尾…?」

狐《私をその汚れた名で呼ぶな!!人間がつけた名など虫酸が走る!!…それにしても、あれだけの力で木の葉を守りながら、この状況では何も役に立たぬとは…。やはり、人間は脆いな…》

「なんのことだよ…」

狐《組織の長となりし小僧と言えども、普段見えていたものが見えなくなっている。お前はそこまで弱い人間だったか?》

「だからっ…、なんのことだ!!このクソ狐っ…。お前のせいだ…、全部お前が悪いんだ!!」

違う、わかってる。

こいつが悪いんじゃない。

弱い俺が悪いんだ。

強くなったと思ってたのに、何も変わっていない。
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