忍夢と僕・2
□僕とシリーズ・ナルト視点
4ページ/8ページ
狐《…柚姫の友でなければ、食い殺しているところだ。…器となりし哀れな子よ、今までの出来事をよく思い返せ。そうすれば、お前が探している答えが見つかるだろう…》
「答え…って…」
狐《そして思い出せ。本当の自分の強さを。お前はそこまで弱い人間ではないだろう…。その両目で、もう一度真実を見極めるがいい…》
「待てっ!!消えるな!!おいっ――っ、くそっ!!」
身体中を走っていた激痛がピタリと止み、汗だけが滴り落ちる。
ふと、足元を見れば、俺が座っている場所は四代目火影の顔岩の上だった。
「なぁ…、俺ん中にいる奴と戦ったあんたなら、何か知ってんだろ?…答えてくれよ、教えてくれよ。俺ってなんなんだ…」
ただの岩が答えてくれるわけがない。
自分が馬鹿みたいな事をしているのもわかっている。
それでも、知りたかった。
九尾が言っている意味を。
例え四代目火影が生きていたとして、聞いても無駄なことだってわかりきっている。
それでも、きっと俺は何かに頼りたかったのかもしれない。
「柚姫…、どこにいんだよ…。あいつは、存在するよな?」
何かに頼りたい、その相手は柚姫であって四代目火影なんかじゃないけど。
「あんたは、里一番の忍だったんだろ?…あいつの居場所を教えてくれ…、頼むからぁ……。お願い…しますっ…教えてください…」
涙が止まらない。
変化を解くのも忘れ、里内をぼんやりと歩きながら思い出すのは、やっぱり柚姫のこと。
ここも、あそこの道も一緒に歩いた。
この店も、あっちの店も一緒に買い物に行った。
はずなんだ。
もう、誰かに柚姫の事を聞くのが怖い。
これ以上、他の奴の口から何も聞きたくない。
「(………諦めるのか?俺は…)」
九尾は柚姫の事を知っていた。
俺と九尾以外、みんな記憶がなくなったのかな。
「――っ、違う!!んなわけあるかっ!!」
俺達は、柚姫に助けられてきたはずだ。
忘れるはずがないし、柚姫だって俺達との時間を大切にしていた。
なら、なんであいつは木の葉を出て行った?
いつから決めていたんだ?
決めたきっかけは?
ふと、立ち止まり、柚姫に言われた言葉を思い返す。
「(ずっと妖狐に対する憎しみを背負ってきたお前には、きっとまだ理解できない…ってどういう意味だ?)」
俺が理解できないから、里を出たのか?
「…――っ!!!!違…う、あいつは九尾…の味方…なんだ…」
ということはだ、九尾の味方である柚姫は、九尾に何かをしたかった?
だけど、それを俺に話したところで、憎しみを背負っている俺にはまだ理解できないってことなのか?
もしそうだったとしても、いきなり木の葉を出た理由とは繋がらない。