忍夢と僕・2
□僕とシリーズ・ナルト視点
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あの日、何があった?
「(…――っ、火影…。…何か知ってやがるな…)」
あの時、柚姫は頑なに護衛を嫌がっていた気がする。
――「…綱手よ、柚姫の護衛はカカシと自来也を含めたスリーマンセルで行ってもらう。…念のために、じゃ」――
――『冗談じゃない!!僕は嫌だからな!!3人も必要ない!!』――
いつもなら、柚姫を怒らせないようにする火影だが、あの日だけは違った。
――「最初はわしもそう思ったんじゃが、お主は頭が良い。…綱手の腕を信用してないわけではないが、先程も言った通り「念のため」じゃよ」――
――『――っ…、何が念のためだ…』――
――「困ることでも…?」――
――『別に…』――
――「なら、この話はこれで終わりじゃ。…自来也、綱手、カカシ…頼んだぞ」――
今思い返せば、あいつは明らかに様子がおかしかったじゃないか。
まず、押し負けるのが柚姫だなんてありえないんだ。
「護衛されると困ることがあったから……」
柚姫は里を出て行った。
「くそっ、半分は俺のせいじゃねぇか…」
出会った頃から知っていたはずだった。
柚姫には、何かやるべき事があってこの世界に来たということ。
なんで、忘れてたんだろう。
どうして、邪魔しちゃったんだろう。
「…ってことは、シカマルもサスケもカカシも、みんな覚えてるわけか…」
九尾にはお礼を言わなきゃ。
そうだ、俺は木の葉の暗部総隊長。
四代目火影の遺影と呼ばれ、部下を束ねてきた。
そんな俺が、嘘を見抜けないはずがない。
そんな俺が、状況判断ができないなんてあってはならない。
思い返せ、柚姫の言葉を。
思い出せ、柚姫が嫌がっていたことを。
俺の横を通りすぎる里の住民が、バタバタと倒れていく。
何人かはカタカタと震え、口から汚物を吐き出していた。
握っている拳が痛い。
「あ゙ぁ…、久しぶりにキレたな、俺…」
火影をぶっ殺して、里を抜けようか。
ゆっくりと歩き出した俺は、また火影邸へと向かった。
知っていることを、全部吐き出させてやる。
殺気をしまい込めず、何人もの住民が犠牲になっていく。
正直、そんなことはどうだっていいんだ。
殺気を感じとった火影は、すぐに誰かをよこすだろう。
「…震えやがれ、くそったれが…」
返せ、俺の光を返せ。
俺にとって、柚姫は必要な存在だ。
みんな知っていたはずなのに。
俺を守るため?いや、違う。
九尾の復活を恐れたんだ。
柚姫には特別な力がある。
「獣語」だ。
九尾と話せる可能性なのか、何かきっかけがあったから柚姫を疑い始めたんだろうけど、それだけじゃなく、木の葉は柚姫を追い詰めた。
許せない、許さない。