忍夢と僕・2
□僕とシリーズ・サスケ視点・2
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だが、その甘さという名の良心も、柚姫の一言で一瞬にして消え去ってしまったが。
『はすけぇ!!置いていくな、この阿呆!!』
「…待ってやってんのに、阿呆呼ばわりとはいい度胸だな!!このウスラトンカチ!!」
そう言って、片頬を上げ笑ってやれば、柚姫は悔しそうに顔を歪ます。
「じゃぁな、……ドチビ」
スピードをあげた俺は、どんどん先へと進んでいった。
『ドッ!?言ったな、このばかすけ!!!!――っ、だぁぁあああ!!??』
背中に聞こえた悲鳴は、きっとトラップに引っ掛かってしまったんだろう。
「ふん、俺の勝ちだな!!」
久しぶりに勝利が見えてきた俺は、眠気なんぞぶっ飛び、ゴール目指して一気に走り始めた。
「…さてと、ここらでイルカが来るのを待つか」
だいたい中心に位置するであろう場所で立ち止まり、草影に身を隠す。
馬鹿正直に走り回ってチャクラを無駄に消費するより、何度か場所を変えながら待ち伏せするほうが効率がいいのだ。
森中に響き渡る悲鳴を聞きながら、イルカが通りかかるのを静かに待った。
だが、イルカよりも先に通ったのはキバだ。
奴はクラスで一番鼻が利く。
牙「これはこれは、うちはサスケ君じゃありませんか」
「邪魔だ、失せろ…」
牙「んだよ、相変わらず冷てぇ奴だな。演習は始まったばっかだぜ?少しくらい付き合えよ」
そう言い、許可もなく隣に腰をおろしたこいつを、殴りたい衝動にかられる。
「失せろと言ったはずだが?…あいにく、話している時間はない。柚姫に追いつかれる前にイルカを探さなきゃならねぇんだ」
牙「あぁ?…あんな奴ほっとけよ」
「……どういう意味だ」
牙「お前もナルトも、あんなクソ気味悪い女と行動する必要はねぇっつってんだよ」
無意識にキバの胸ぐらを掴んだ自分に驚いた。
まさか、柚姫のことを悪く言われて、こんなにも腹がたつとは思ってもいなかったのだ。
牙「――っ!?何すんだよ!!離しやがれ!!」
「うるせぇ…、この馬鹿犬が…。俺とナルトが、どれだけあいつに助けられているか知ってるか?…あいつと一緒にいるのは、俺達の意思だ!!柚姫のことを知りもしねぇくせに、気味が悪いとか二度と口にするな!!」
牙「チッ…」
まだ言い足りない気もするが、どうやら強く掴みすぎたせいで、首回りを締め上げていたらしい。
何度か咳き込んだキバは、俺を睨み付けている。