『総悟!ちゃんと仕事してよね!!』


自分の見るいつもの風景が、今日はモノクロで目前に映し出された。

目の前にいるのは、俺にとって大切な人。

その人は艶を帯びた背中までの綺麗な髪を、優しく吹き付ける風に靡かせていた。


『あ、これから何処か行きやせんかィ?良い所見つけたんでさァ。』


その空間の中にいる俺が、目前にいる彼女に向かって口を開いた。


『〜〜〜・・・、話逸らさないでよね!あの副長に怒られるのは私なんだから!
・・・・・・ま、今日はいっか。』

彼女の返答に軽く俺は頬を緩めて微笑んだ。

彼女も微笑み返してくれた。

そして俺は手を差し伸べる。

それを見た彼女は綺麗な微笑みを俺にみせ、手を俺に差し出した。


――そして夢は終わる。


「・・・またか・・・」

モノクロの空間が瞼の奥から消えていく。

そして目前に広がるのは、さっきと同じ風景。

でも、彼女だけがいない。


「未練がましいや・・・俺ァ・・・」


視線を上に向ければ、そこには嫌という程綺麗な空。

風が俺の髪を靡かせる。

呟いたその言葉は、誰にも拾われることなく消え去った。


 



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