金色の姫1

□No.3
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【さっき今回憑依するのは私かもしれないっていったけど、
私は首元に痣なんてないはずよ】
【当たり前だ。私が憑依する人物は私が決めるのだから】
【どういうこと?】
【私がこいつに憑依をしたいと思ったとき、
私の一部だけ先に憑依させる。その影響で痣ができてしまうのだ。
いくら鳳凰一族で私のチャクラを持っているからといっても
憑依となると別の話になる。
何の術式も施すことなく、このまま私が全て憑依してしまえば
たちまち死んでしまうだろう】
【成程ね。でもそしたら納得がいかないわ。
あなたが憑依する人物を選べるのだとしたら、
何故力に溺れてしまう人なんて選んだのよ】
【……宿る前はとても誠実で優しい者ばかりだった。
だが、自分がどれほどの力を持っているか分かると、
豹変してしまった。やはり人間は弱いな】

ひしひしと伝わってくる今まで自分が宿った人間に対する怒り。
自分が信用して宿った人物が裏切ったようなものだ。
それは怒りも覚えるだろうし悲しいことだろう

【今回はお前に懸けてみようと思う】
【何で?】
【アカリだったころからお前なら大丈夫かもしれないと思っていた。
だが、怖かった。心優しいアカリが私が憑依することによって
変わってしまうのではないか……と】
【そんなこと考えてくれていたんだ】

ジキは本当に優しい子だ。自分が裏切られることよりも
自分が憑依することで変わってしまうことに対して申し訳ないと思っているなんて。

それに、別にここにずっといる必要もないはずなのに
ずっとこの狭い牢屋に閉じ込められたまま私たち力を与えてくれる。
もし私がジキと同じ立場であるならばとっくに人間に呆れて
こんなところから逃げ出して静かなところで暮らすだろう

【アカリいやツクモ。私はお前に憑依したい。いいか?】
【私でいいのなら】
【行動が制限されることになるぞ。私は世界の頂点に立つ存在。
つまり世界を見て回ったり、尾獣の管理をしなくてはならない】
【私でいいのなら力になるわ。けどこっちも条件がある】
【条件だと?】
【うん、それはね――】

私はミナト先生とクシナさんを助けたいと伝えた。
ナルトが誕生する10月10日。
その日に九尾が木ノ葉を襲う。
そしてミナトとクシナは命を懸けで
九尾をナルトに封印し亡くなってしまう。

どうしてもそれはイヤだった。

大好きな二人が死んでしまうと考えただけで苦しくなる。
この前母と出かけたときにたまたま出会ったミナト先生とクシナさん。
お二人はとても幸せそうで、
私はずっと二人には幸せになって欲しかったのだ

【相変わらずお前はミナトが好きなのだな】
【なっ――】

意地悪く言われた言葉に思わず詰まる。
そう私はアカリだったころからミナト先生が好きだった。
だが、クシナさんも好きで、どっちも好きで
私は自分の気持ちを抑えることしかできなかった

【まあいい、協力してやる。】
【ありがとう】
【だが、今のお前の体に憑依することはできない。
一部だけの憑依もまだ赤ん坊のお前には耐えられないだろう】
【そんな、じゃあこんな体で二人を救うことなんて】
【問題はない】
【本当?】

このあと私は真剣にジキから提案を聞き、
光が見えてきたことに喜んだ。





2016/03/26 (修正 2016/04/23)
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