金色の姫1

□No.4
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「久しぶりだな、ツクモ」
「あっあっ!」
「そうだ、俺の弟を紹介するよ、サスケだ」

イタチは父から慣れた手つきで私を受け取り、
サスケの元へと連れて行く。
今は私の真横にサスケがいる状態だ。
泣きもせず、初めて見た私が不思議なのか
じーっと見つめてくる。
それがなんとも可愛らしく、頬が緩むと
サスケは笑ってくれた。

「可愛いな」
「イタチくん、ツクモを頼んでもいいか?
久し振りにフガクと話してくる」
「俺は話す気はないが」
「そう硬いこと言うなよ。じゃあ、よろしくな」
「はい」

父はイヤそうなフガクさんの肩に手を回して出て行った。
何だかんだでフガクさんが付いて行っているということは、
意外と仲がいいようだ。

「母さん縁側行ってくるね」
「ええ、いってらっしゃい」

イタチ抱えられて縁側に移動する。
今日はとても天気が良く、こうして縁側にいるととても気持ちいい。
10月の頭ということで少し寒いと思ったが、
風はなく太陽があるため、とても暖かくこのまま眠ってしまいそうだ

「久しぶりだな。会いたかったが、
なかなか来てくれなかったから悲しかったぞ」

それはこっちも同じ気持ちだ。
だが、私はまだしっかりしゃべれないから
イタチのところに行きたいなどと伝えることができない。

イタチから来てくれるのが一番なのだが、
私の集落には鳳凰一族しか入れない。

鳳凰一族の集落の回りには結界が張られており、
金色鳳凰のチャクラを持っている人物しか中に入ることができない。
つまり、木ノ葉の里で一番偉い火影ですら入ることができないのだ。
だからイタチが鳳凰一族の集落に来たとしても
門前払いとなってしまう。

「来年から俺はアカデミーに通うことになる。
ツクモと会える時間が減ってしまう。寂しいな」
「あうー」

そんな風に思ってもらえていることは嬉しいが、
悲しそうなイタチを見ると悲しくなってしまう。

「本当はアカデミーに入るつもりはなかったんだ。
でも戦争で多くの死を見てしまって
――もし自分の大切な人が死んでしまったらと考えたんだ。
そんなの嫌だ。だから俺が強くなって助けるんだ。」
「あー」
「俺さ一人とても大切な人を失っているんだ。
ツクモと同じ鳳凰一族のアカリさんって人」
「!?」
「物心ついたころからずっと一緒にいた人なんだけど、
とても優しい人でね」

私がアカリだったころ、イタチとはよく会っていた。
うちは一族と鳳凰一族は仲が良かったため、
よくお邪魔していたのだ。
まさかこうして覚えてくれているとは
思ってもなかったので、嬉しいと共にこそばゆい

「あの人が死んだと聞かされた時、
何が何だかわからなくて、
俺がもっと強くてその場にいれたらって思うようになって。
俺は強くなってツクモやサスケや父さんや母さんを守るんだ
何にも負けない力を手に入れて争いをなくすんだ」

覚悟を決めたその瞳に吸い込まれそうになる。
この子はどうしてこんなにも大人の表情をするんだ。

強くなって守るという言葉は
イタチくらいの子どもであるならば言ってもおかしくない。
でもそれはもっと無邪気なものであって、
こんな表情で言うものではない。
それに争いをなくすなど、そんな考えが出てくるなんて
この子はいつの間にこんなに大人になってしまったのだ

「ツクモ?どうした、泣きそうだけどお腹空いたか?」
「……」

その問いに答えることなく、私はイタチの小指を握った。





2016/03/28 (修正 2016/04/23)
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