金色の姫1

□No.11
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「お、ツクモじゃねえか、でかくなったな」
「ダケ!」
「ダケさんな、よかった覚えてたんだな」

サスケの家でお世話になることになってから
今まで一度も会っていなかったが、
ここで久しぶりにダケと会ってしまった。

ここはちらほら人がいる。サスケもそばにいるんだ。
あの時みたいに私を殺しにはかからないだろうが、軽く身構える。

「ツクモの知ってる人?」
「うん。でも私この人嫌い」
「そんなこと言われたら傷つくなぁ」
「ツクモが嫌いならおれも嫌い」
「初対面で嫌われたよ。
ま、いいや。お前ら弁当なんて持ってどこ行くんだよ」
「兄ぃのところ」
「兄ぃ、ああ確かイタチだよな?じゃあアカデミーか。
それならそこを真っ直ぐ行って、突き当ったら左だ。そしたら右側に見えるからな」
「そんなこと知ってるよ!サスケ行こう!」
「あ、うん!」

サスケの手を引っ張り逃げるように私は走り出した。
くっそ、ダケのこと知らないふりしておけばよかった。
もう半年近く会っていないんだ。
この歳の子どもでは記憶になくても可笑しくはない。
失敗したな。そんなことを思いながらアカデミーへの道を急いだ。









































アカデミーに着いたのはちょうどお昼の時間だった。
アカデミーの入口のところで入っていいか分からず
ふらふらしていた私たちをアカデミーの先生が見つけてくれ、
事情を話して今中に通されているところだ。

「それにしてもえらいわね。
二人だけでお弁当を届けに来るなんて。二人とも何歳なの?」
「1歳!」
「私も1歳!」
「そうなのね、二人はアカデミーに通うのかしら?」
「当たり前だろ!俺、兄ぃみたいに強くなりたいんだ!」
「そっか、頑張ってね。さ、イタチくんのいる教室はここよ」

先生に案内され着いた教室の扉を開けるとイタチはすぐに見つけられた。
一人で何もせずに窓の外を見ている。
隣にいるあの女の子は確かうちはイズミ。
父親が死に母親がうちは一族のため戻って来た子だった気がする。
まだ話したことはないが優しい子なのは雰囲気からわかる。

おいおいイタチよ。
イズミちゃんがお弁当くれるって言ってるのに、
何でそんなに無関心なんだ!

そんな事を思っているとサスケが大きな声で兄ぃ!
と言いながら駆け寄って行った。
それを見て可愛いなと思いながら私もゆっくりと向かった

「サスケ、何でお前がここに!」
「これ!」
「お弁当…サスケが持ってきてくれたのか?」
「うん!ツクモも一緒だよ!」
「そうか、ありがとう」

嬉しそうに笑っているイタチを見て
クラスの女の子が頬を染めている。もちろんイズミちゃんもだ。

アカデミーでこういう表情をするのは貴重なのだろうか、
女の子たちが今にも倒れそうだ。
私やサスケの前ではいつもニコニコしてるのに、
アカデミーでは違うのだろうか。

「ツクモも早く来い」
「うん」

催促されたので軽く走りながらイタチのところへ飛び込んだ。
なんなく受け止めてくれ、イタチは私の頭を撫でる。
ありがとうと笑顔で告げられ、この笑顔を見せられる場所に私はなりたい。
そう思ったのだった。





2016/04/02 (修正 2016/04/23)
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