金色の姫1

□No.31
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「月華様すみません」
「大丈夫ですよ。ねぇ、我愛羅君」
「…っ」
「月華様!」


我愛羅に手を伸ばそうとしたら砂に手をはじかれた。
面をして顔が分からず、
初めて見る人物に恐怖を抱き勝手に砂が反応しているのだろう。

「夜叉丸さん、手出し無用です」

そう言ってから、私はお面を取り、
震えている我愛羅と同じ目線になるように膝を折った

「我愛羅君」
「駄目、来ないで。砂が!」

砂が私の頬や腕など数十ヵ所を切って血が伝ったのがわかった
だが私は彼から逃げることはしない。そのまま同じ目線のまま話しかける

「私の名前は月華。夜叉丸さんの友達なの。仲良くしてほしいな」
「夜叉丸の友達?」
「そう。私のことは月華って呼んで!」

笑顔でそう言うと、我愛羅は可愛らしいく笑って、
小さく私の名を呼んでくれた。

「触っても大丈夫かな?」
「う、うん。多分」
「ありがとう」

許可をとってから私は我愛羅の赤い髪を撫でた。
それに反応して砂が襲ってくることは無かったので、
もう私は敵であると認識されていないようだ。

こんなに早く慣れてくれるのであれば、
夜叉丸さんの代わりの世話係もちゃんとこなせるだろう。

「さて夜叉丸さん、行きましょうか。我愛羅君またね」
「またね?」
「うん。また会おうねって意味よ。
後で我愛羅君の部屋に会いに行くから待っててね」
「うん!」

我愛羅が走り去っていくのを見守ってから
私はお面をつけながら立ち上がった。
そして夜叉丸さんの方を見ると彼はとても驚いており、
そんな表情をされてはこっちまで驚いてしまう。

「夜叉丸さん?」
「あんなに早く、我愛羅様の砂が襲いかからなくなるなんて」
「今のを見て分かりましたよね?
我愛羅君の砂が襲いかかるのは、
我愛羅君ではなく、話しかけた人が悪いんです。
なのに怖いって言って他里に任せるなんて可笑しいですよ」
「里の方々は貴女みたいに強くないのです」
「はぁ。風影様の所に案内して下さい」

何を言っても無理だと思った私は催促をした。
だが彼は私の傷を治すと言い出し、
それに従うしかない物言いだったので黙って言うことを聞いたのだった。
見た目に似合わず頑固な人だ。
































傷を治してもらった後、風影様のいらっしゃる部屋まで移動した。
コンコンと扉をノックすると中から入れという言葉が聞こえ、
扉を開けてくれた夜叉丸さんにお礼を言ってから中に入る。

「失礼します」
「わざわざ来てくれて助かった」
「いえ。早速ですが質問があります」
「何だ?」
「期間はどの位でしょうか」

私はこのことがずっと知りたかった
あまりこっちに長居するわけにはいかない。

火影様からは風の国近辺の任務も渡されたが、
そんな大した量ではないので直ぐに終わってしまうだろう。
あまり私が木ノ葉から抜けるのは良くないはずだ

「早くて1週間。遅くで1ヶ月だ」
「遅くて1ヶ月……」
「他に何かあるか?」
「いえ。事前に渡されたものに詳細を書いて下さったので問題ありません」
「そうか。夜叉丸、月華を宿に案内し、
直ちに任務へ向かうように」
「御意」
「失礼しました」

風影様に頭を下げてから夜叉丸さんと一緒に部屋から出た

長くて1ヶ月、これから砂隠れで生活をすることになる。
実分身を木ノ葉に置いて来ているので、ツクモがいないということにはならないが
ジキに教わったこの実分身ちょっと問題がある。

実分身。名前の通り実体のある分身だ。
影分身とどう違うのかと言われると
影分身も実体を持つが、攻撃などで衝撃を受けると消えてしまう。
だが実分身はこちらの意思がなければ決して消えない。
そしてもし実分身が死んだら本体も死ぬということになる。

とても危険な術だが、絶対に分身であるということはばれず、
この世にツクモと月華という人物がしっかりと存在していることになる。

そんな素晴らしい術だが、一番の問題はチャクラや力は分けられてしまうのだ。
影分身のように当分割とうわけなく、こちらで設定できるが、
今月華とツクモの比率は2:8としている。

そのため弱い方のツクモを殺されてしまったらすべて終わりだ。
だからあまりこの術は使いたくないのだが、とても便利なのだ。

それに本来ツクモはまだ忍にもなっていないので、
あまり力がなくても可笑しくない。
だから本来の子どもに戻ったと思えば何も不自由はないだろう。
といっても今のツクモでも中忍レベルの力はあるはずだ。

今の木ノ葉にいれば殺されるなんてことは
めったなことがない限り平気だと思うけど……






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