金色の姫1

□No.34
2ページ/2ページ




「何ですっ…!?」
「黙ろうか」

両腕を上に上げられ、壁に押し付けられる
加えて口も手で抑えられた

もし私を一般人であると思ってこの行動をしたのだとしたら、
この人は忍の風上にも置けないやつだ。

これは一回痛い目を見た方がいいなと思い、
思いっきり蹴り飛ばそうとした瞬間

「月華を離して!」

息を切らした我愛羅が現れた

「頼んだ」
「分かってますよ」

私を抑えている人の命令に従い、
4人の忍が我愛羅に向かっていく

「我愛羅っ、月華!?」
「お前ら月華に何やってるんだよ!」

遅れてテマリとカンクロウも登場

「ん〜っ!テマリ、カンロウ!我愛羅を連れて逃げて!」

手を噛んで相手が怯んだ隙に私は叫んだ
我愛羅が暴走する!

「痛いじゃねぇか!」

“バシンッ”

「「月華!」」

怒りの表情を浮かべているやつに私は頬を殴られた
まさかグーで殴られるとは思っていなかったので、
一瞬惚けてしまったが辺りの空気が禍々しくなったのに気付き
慌てて我愛羅の名を叫んだが遅かった

「月華から、月華から離れろおおぉぉぉ!」

我愛羅の後ろに一尾が見えるような殺気
中忍の2人は怯んで腰が抜けてしまっている
私の前にいる人は私から離れて我愛羅を見ている
平然を装っているようだが、恐怖を感じているようにしか見えない

「うわぁぁぁ!」

そして殺気が強くなり、
怯んだ上忍に我愛羅の砂が凄い勢いで迫る

“パァァン!”

「ごめん我愛羅」

“ドサッ”

向かってきている我愛羅の砂と上忍の間に入り、砂を弾き飛ばす
そして我愛羅の後ろに瞬時に移動し首刀を入れ、気絶させた

「さっさとどっか行って下さい」

私がそう言うと、3人の男性は何回も転びながら逃げていった

「テマリ、カンロウ大丈夫?」
「オ、オレたちは大丈夫じゃん」
「それより我愛羅は?」
「大丈夫。少し眠ってもらっただけだから」


そう言うと安心して緊張の糸が切れたのか、二人は座り込んだ
そしてガタガタ震えている
私は我愛羅をゆっくりと横たえてから二人を抱きしめた

「怖かったね」

上忍ですら、恐怖を抱く殺気にあてられたんだ。
怖くて仕方ないはず

「月華様!」
「夜叉丸さん?」

焦った表情で表れたのは、
任務に出ているはずの夜叉丸さん
やっと帰ってきてくれたようだ

「さっき里の上忍たちが真っ青な顔で此方からやってきたので、
まさかと思ったのですが」
「我愛羅が暴走しました。すみません、私の責任です」
「そうですか」

夜叉丸さんは我愛羅の状態を確認してから私の方を向いた

「予定より長い期間すみませんでした。
これで貴女のの任務は終わりです」
「そうですね」

私は抱きしめていた二人を離し、立ち上がった
そしてポケットに入れておいた砂時計の箱を手に取る

「テマリ、カンロウ。今までありがとう。
私はもう帰らないといけないから、
これを我愛羅に渡しといてもらえるかな?」
「我愛羅が起きるまでいないのか?」
「そういうのは自分で渡せよ」
「予定より延びたから早く帰らないといけないの。
頼んだよ。ずっと肌身離さず持っているようにって伝えてね」
「「月華!」」

無理やり二人に砂時計を押し付け、私は瞬身の術で消えたのだった。






前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ