金色の姫1

□No.4
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「ツクモ!出掛けるぞ!」
「あー!」

ジキと色々話してから数週間。
未だにイタチには会えておらず、
少し寂しくなっていた今日この頃。
珍しく非番の父は私の名前を呼び、外に出ることになった。

「こうして出掛けるのは久しぶりだな」
「うう」
「里の中でもゆっくり見て回ろうな」

そう言い、父と共に里を見て回る。
人がたくさん行き来しており、
たまに駆けてくる子供にぶつかりそうで少し危ない。

「あ、二人とも久しぶり!」
「ミナト、クシナ!」
「ツクモ、久しぶりだってばね」
「あ!!」

前から歩いてきたミナト先生とクシナさんは
私たちに気づき近付いてきた。
10月入ったばかりの秋の日。
クシナさんのお腹は大分大きくなっていた。

「ツクモは随分と大きくなったんだね」
「そうだろ、そうだろ」
「あっあー!」
「ふふ、気になるの?そろそろ生まれるのよ。
ツクモ、仲良くしてあげてね」
「あー!!」

お腹をさすりながら幸せそうに言うクシナさんに
肯定の意味を込めて声を出すと、
優しい手つきで頭を撫でられて私は泣きそうになる。

絶対この手で助けるんだから

「ツクモは本当に可愛いわね」
「そうだろう、そうだろう!ツクモは絶対美人になるぞ」
「親バカだね」
「親バカね」
「いずれお前たちもそうなるさ」
「ははは、そうだな」
「じゃあ俺たちはもう行く。クシナ、しっかりと産めよ」
「当たり前だってばね!」

父は二人に手を振りながらその場を離れる。
次はどこに行くかと思っていると到着したのはなんと
うちはの集落だった。もしかして――

「最近ずっとイタチに会っていなかったんだろ?」
「あっあ」

ありがとう父さん!そう言いたかったが、
言葉を発することができるはずなく
私は取り敢えず声を出した。
そうすると分かってくれたのか父は優しく頭を撫でてくれた

「こんにちは!」
「何だお前か」
「フガクいたのか」
「当たり前だ」
「そうか。なあ、イタチとサスケはいるか?
ツクモが会いたがっていてな」
「……奥にいる、付いて来い」

赤ん坊のくせに会いたいとかあるのか?
という表情をしたフガクさんだったが、
特に突っ込むことはせずに奥へと進んでいった。

それを付けるように私たちも行くと
そこには小さな赤ん坊を大事そうに抱えるミコトさんと、
優しそうに見守っているイタチがいた。

「お邪魔してます」
「あら、来ていたんですね。
それにツクモちゃんも来てくれたのね」
「ツクモ!」

父の声にミコトさんとイタチがこちらを向き、
ミコトさんは嬉しそうに笑い、イタチは駆け寄ってきた。
それが嬉しくて自然と笑顔になると、
父がしゃがんでくれているため、イタチは頭を撫でてくれた。






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