金色の姫1

□No.12
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「ミコトさん!」
「どうしたの?」

フガクさんの家にお世話になるようになり、随分と日が経ち、
私は毎日毎日ジキと修行していたので結構強くなっていた。

そして明日はイタチがアカデミーを卒業する日。
ずいぶんと前に卒業することは決まっていたが、
1年はアカデミーに通わなければならなかったので明日が卒業式なのだ。
そのためお祝として何か渡したいと思った。

だが、私はまだ小さな子どもだ。お金なんて持ってるはずがない。
お世話になっているのにお金をもらうのはどうかと思うが、
本当の家族だと思って遠慮しないでと言われたので遠慮はしない。

「お金欲しいの!」
「お金?何に使うの?」
「えっとね、イタチ兄ちゃんのお祝!」
「そういことね、じゃあお金あげるわ」
「ありがとう!」

ちょっと待っててね。と言い奥に消えて行ったミコトさんにお礼を言う。
そして、やはりミコトさんはいい人だなと思いながら
戻って来るのを待っていると背中に重い何かが乗っかった。
思わずよろけそうになるが、何とか踏ん張り持ちこたえ元凶に話しかける。

「重いよサスケ」
「何やってるの?」
「ミコトさん待ってる」
「母さんを?」

元凶というのはイタチの弟であるサスケだった。
イタチに対する時と同じくらい私にべったりで、
少し困っているのだが、可愛くて仕方がない。

「あらあら、サスケもいたのね」
「母さん!」
「ちょっと待ってね」

抱っこというように両手を伸ばすサスケに
ちょっと待ててねと言い、ミコトさんは私に巾着袋をくれた。
どうやらこの首からかけるようになっている
巾着袋にお金を入れてくれたようだ。
これならば落とす心配はないだろう。

「じゃあ、行こうかツクモ」

サスケを抱きかかえてからそう言ったミコトさんに首を傾げる。
行こうかというのはどういうことなのだろうか。
もしかすると、ミコトさんも一緒に行くつもりなのだろうか?
それは少し困る。今回私は一人で外に出たかった。
確かめたいことがあるのだ。

今までうちはの集落以外では決して一人で外に出してくれなかった。
一人で集落にいるときに影分身でも出してしまえばいいのだが、
今うちは一族は九尾のことで暗部に見張られてる。
ここで変な動きをするわけにはいかないのだ。
だから私は自然にこの姿のまま早く一人で出かけたかった。

「私、一人で行きたい」
「え?」
「一人で行けるもん!」

元気よく言うとミコトさんは困った表情を浮かべる。
小さな子どもを一人で買い物に行かせるなどできるわけがないのだ。
戦争がなくなり、平和になった里であるが、
誰か知らない人に付いて行ってしまうのではないかと心配になる。
以前サスケと二人で出かけたことはあるが、
あの時は影でミコトさんが見ていたし、やはり一人は難しいようだ。

それに私は鳳凰一族。
うちは一族や日向一族などのように
能力が知れ渡っている一族ではないが、
相当力のある一族であることは知られている。

つまり狙われてもおかしくないのだ。
しかも鳳凰一族の髪は目立つ。
瑠璃色なのだが、ところどころメッシュのように金色が混じっているのだ。
これは金色鳳凰のチャクラを得ているからなのだろうが、
この髪のせいですぐに鳳凰一族であるということはわかってしまう。

もし誘拐されてしまったら――

そう考えると不安になるのも仕方ないのだが、
私はやらなければならないことがある。
心配させてしまうのは申し訳ないがここは一歩も引けない

「駄目なの?」
「うーん」
「行く!」
「サスケも?」
「ミコトさん!」
「……仕方ないわね、じゃあ二人でってあれ?」
「サスケ眠そうだね」
「まったくこの子は……
ツクモ、私はサスケを見ていないといけない。
一人で行ける?」
「うん!」
「わかった、じゃあいてらっしゃい。
何かあったら木ノ葉の額あてをしている忍に聞くのよ。
あとフードは絶対に深くかぶって行きなさい」
「はーい」

やっとのことで一人で買い物に行けることになった。






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