金色の姫1

□No.15
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【ジキ、来てないよね?】
【ああ】
【やっとだ!!】

今日は初めて本当に一人でうちはの集落の外に出ることができた。
今までの行動を見てミコトさんはもう私一人でも大丈夫だと判断したのだろう。
これでやっと動きやすくなる。
まずはナルトと接触だ。
この前思わぬ形で会うことになったが、今回はちゃんと会って話したい。

ナルトの気配を探りながら歩いていると薄暗く細い路地へと着いた。
奥からは重い音が聞こえる。今度は暴力か。
呆れながら私はその路地へと入った。

「お兄さん、何やってるの?」
「!!……キミどうしてこんなところに?」

慌てて振り返った男の顔は隠れており、
誰なのか全く分からないし、表情もわからない。
ただ、声を掛けてきたのがまだ小さな子供だと分かり
ほっと息を吐いたことから安心したのはわかった。
一応よくないことをしているという認識はあるのかもね。

「変な音が聞こえたから!」
「こんな暗いところに子どもがきたら危ないよ」
「そうなんだ!じゃあ一緒に行こう!」
「ちょっと待て、何やってんだ」

いきなりナルトに駆け寄ったことに驚いたのか、
男は慌てて私とナルトの間に入ってきた。

今の動きからしてこの人忍か。
忍が一般人に手をあげてるんじゃないよ!
と心の中で思いながら、口では違うことを言う

「子どもが来たら危ないんでしょ?その子も子どもだよ!」
「こいつはいいんだよ」
「その子はよくて私は駄目なの?」
「ああ」
「何で?」
「なんでもだ!」

なかなか私が立ち去らないので、
男はだんだん苛立ち始めているのか、声が大きくなっている。
そんな声出したら子どもがびっくりするよ。

「よくわかんない。あ、キミ怪我してるよ!!」
「あ、おい!」

男の人の足の間を通り抜け私はナルトに駆け寄った。
後ろで男が何かを言っているようだが
気にせずにナルトに触れると驚いたようにこっちを向いてやっと私に気付いた。
手を振り払われそうになったので。
強く握り、そのままナルトを立ち上がらせる

「この子怪我しているから、治さないと!」
「そんなことしなくていいんだよ」
「何で?」
「そいつが化け物だからだ」
「化け物?」

それは子どもに言ってはいけないことだろ、と思いながら首を傾げる。
今木ノ葉はこんな大人ばかりなのだろうか。
だとしたらナルトは気軽に外にも出れないじゃないか。

だが食料は確保しなくてはいけない。
いつもビクビクして買い物をしなければいけないなんて、酷過ぎる。

「そう、怖い化け物だ」
「怖くないよ」
「チッ、面倒なガキだな。さっさと消えろ」
「わかった」

そう言って私は思いっきり男の脛を蹴った。
もう一度言う、思いっきりだ。
思わぬ痛みにうずくまる男を放り、
ナルトを連れ路地から抜け出した。
そしてそのまま男が追ってこないのを確認しながら
人通りの多い通りを抜け、公園へとたどり着いた。






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