金色の姫1

□No.38
1ページ/2ページ




「寒いと思ったら雪か」

月華が暗部の任務に出ている一方
ツクモは買い物に行くため家から出て身震いした。

最近は常に実分身をしており、
ツクモと月華という二人がしっかりと存在するようになっている。
月華は任務が終わったら月華の家に帰り、
夜にもう一体実分身を作ってから片方の実分身を解くという面倒なことを行っている。
その理由は影分身と同様消えなければ記憶が共有できないからだ。

ジキから言葉伝いに直ぐに情報は入ってくるのだが、
聞いたことと見たことは違うので、
一日一回夜に実分身を消すようにしている。
わざわざ実分身をもう一体作ってから消えている理由は、
そうでないとツクモの家で実分身の月華を作ることになるので、
ツクモと月華が知り合いということになってしまう。
それは避けたい。あくまでツクモと月華は違う個体としたいのだ。

死ぬ確率が上がるのであまり使いたくはないと思っていた実分身だが、
思ったよりも自分が力を付けたようで、相当のことがない限り
力を分散しても死なないことがわかり常に実分身をするようになった。

「くしゅっ!うー寒い」

買い物をしないと今日の夕飯がなしになってしまうので仕方がないのだが、
雪が降っているときに外に出るのは堪える。
まあこの中で月華は任務しているのだが、それとこれとは別だ

「ツクモか?」
「え、あ!シカマル!」

傘をさしているので顔が見えなかったからか、
覗き込むように声を掛けてきたのはシカマルだった

「こんな日になにやってんだ?」
「夕飯の買い物。シカマルは?」
「母ちゃんが買い忘れたやつ買いに行く途中」
「じゃあ一緒だね」
「……今日うち鍋なんだけどよ」
「うわーいいね。今日寒いからもってこいだ」
「お前来るか?」
「え、いいの?」
「お前なら父ちゃんも母ちゃんも喜ぶだろうし」
「なら行きたい!」

私が肯定するとシカマルは口角を上げた。
それが何とも可愛らしくてこっちの頬も緩んだ








































「さみっ」
「中が暖かかったから余計に寒く感じるね」

ヨシノさんに頼まれたものを買い終え
店から出るといきなり体を包んだ寒さに思わず身を竦める。

「何で雪なんて降るんだよ」
「みんな雪が降って嬉しそうに駆け回ってるけど、シカマルは違うんだね」
「寒いだけじゃねえか」
「綺麗じゃん。これだけ降れば明日には結構積もってるだろうね。
雪だるま一緒に作ろうよ」
「ヤダよ。家から出たくない」
「えー」
「お前は何でそんなに元気なんだよ」
「元気だから元気なんだよ」
「意味わからねー」

こんな感じで他愛もない会話をしていたらあっという間にシカマルの家に着いた。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ