隣にいる者2

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3月に入り最初の院生研修日。
ついに今日からヒカルは1組の仲間入りだ

「おはよう」
「来たな進藤」
「ん?どうしたんだよ」
「今日からおまえは1組だ。
このまま全勝はさせねーぜ!」
「させねーって言っても
今月は和谷と対局ないけど」
「今日は南条とあるだろ!」
「ああ、あいつはオレに勝てねーよ」
「ずいぶんな自信だな。
あいつは1組1位になったこともあるんだぜ」
「知ってるよ。でも、オレの強さも知ってるだろ?」
「……おい、南条!」
「ん?何?」

奈瀬と話してたヒトミは名前を呼ばれて、その方向を向くと
和谷が興奮気味に突っ込んできた

「ぜってー進藤に勝て!」
「どうしたのさ」
「あいつむかつく!」
「じゃあ、和谷が勝ちなよ」
「……」
「lightだから無理?」
「……んなことねーよ」
「なら、私になんて任せないで、
強くなって圧勝して、おまえじゃオレには勝てねーよ
くらい言ってやりなよ」
「そうだな!よし、おまえより先に進藤に勝つぜ!」

やる気になってくれたのか、
またヒカルのもとに戻り
自分が勝つことをヒカルに自信満々に告げる和谷。
そんな和谷を見て奈瀬はため息をつく

「単純」
「うん、扱いやすくて助かるよ」
「年下に簡単に言いくるめられるなんてバカね」
「かわいいじゃん」
「それ、本人に言ったら怒るわよ」
「本人に言うわけないじゃん」
「はぁ、この子は……」

ニヤリと笑うヒトミを見て自然とため息が出る。
3つ年上の自分でさえ、この子にはかなわないわ、と

「さてと、ヒカルとの対局頑張りますか」
「勝ちなさいよ」
「無理無理」
「珍しく最初から負ける気よね。
伊角くん相手のときも勝つ気満々だったのに」
「伊角さんには勝てると思ったから。
ヒカルにはどうあがいても勝てないよ
まったく望みがない。プロでも普通に通用するレベルだよ」
「進藤ってそんなに強いの!?」
「うん」
「じゃあなんで院生なんて…」
「さあね、本人に聞いたら?じゃあね」
「あ、うん」

奈瀬の前から、ヒカルの前に移動するヒトミ。
座布団に座り、おはようと挨拶をする

「なあ、本気で打たないのか?」
「打たない」
「勿体ねーな」
「仕方ないよ」
「いつかは本気で打つのか?」
「今のところインターネット以外では予定はないけどね」
「ほんと、勿体ないよな」
「だから仕方ないって」

残念そうにしてくれているヒカルには悪いが、
ヒトミは表で本気を出すつもりはさらさらないのだ

「では、始めてください」
「お願いします」
「お願いします」







































ヒカルは1組に上がって初めての白星を
ヒトミからとった





2015/03/08



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