隣にいる者3

□119
1ページ/1ページ




「こんにちは、おばさん」
「あら、あかりちゃん。いらっしゃい」

ここは進藤家。
みんな用事があるので
囲碁部が休みしなってしまい、
あかりは久しぶりにヒカルの家にやって来た

「ヒカルいる?」
「それがさっき、急いで制服から着替えて、
リュックを持って出て行ったのよ
なんでも友達の家に泊まりに行くって」
「友達の家?」
「ええ、帰ってくるのが日曜日ですって。
何か用があったなら伝えておくけど」
「いえ、大丈夫です。
ちょっと打ってもらおうと思っただけだから」
「そう?なんかごめんなさいね」
「おばさんは気にしないで。
それより、誰の家に泊まりに行ったのか知ってる?」
「さあ、ただ同じプロで一人暮らしの子よ」
「プロで一人暮らし……」
「あかりちゃん?」
「あ、何でもないです。じゃあ、私は帰ります」
「本当にごめんなさいね」
「さようなら」

バタンと玄関の扉を閉め、あかりは小さく呟いた

「ヒトミちゃんかな?」






































「ヒカル!
勝手にカゴに欲しいものを入れないで!」
「いいじゃん。払うからさ」
「荷物が増える。ちゃんと持ってよ」
「わかってるって」

学校から帰ってきて、
少し休憩してから買い物に行こうとしていたとき、
ちょうどヒトミの家にヒカルがやってきた。

そして、泊めてくれと。
いきなり来て泊めてくれはないだろと思ったヒトミだったが、
ヒカルが泊まりに来ることは想定内だったので、首を縦に振った。

そして今は近くのスーパーに
ヒカルと共に夕買い物に来ているのだ

「明日の昼食と夕飯と明後日の昼飯は作れないから、
好きなカップ麺でも選んどいて」

丁度その時間帯は行洋と対局中なので、
ヒトミは食事を作ることができないのだ

『ふふっ、何だか夫婦みたいですね』
「佐為!?」
『もう少し歳が上だったらそう見えたかもね』

買い物カートを右手でヒカルが押し、
ヒカルのもう片方の手はヒトミの手と繋がれている。
そんなヒトミは買うものを書いた紙を見ながら
商品を次々と入れている。
これが中学生の二人じゃなかったら、
新婚に見えるだろう

「後は食パンね。あ、飲み物」
「家に麦茶あるだろ?」
「あるけど、麦茶だけでいいの?
コーラとかいらない?」
「だってお前コーラとか飲まねえだろ?
冷蔵庫に入れっぱなしじゃ、邪魔になるし」
「ヒカルよく来るから、その時飲めばいいじゃん」
「あ、そっか。じゃあカルピス」
「カルピス?珍しい」
「おまえカルピスは好きじゃん」
「よく覚えてるね」

カルピスをカゴに入れ、食パンも入れ、
全部紙に書いたものをカゴに入れ終えたので、
レジに行き、お金を払う。
そして買った物をレジ袋に入れ、持ちあげる

「オレ持つよ」
「いや、いいよ。
私が手ぶらになっちゃうじゃん」
「行くぞ」
「ああ、ちょっと待ってよ」

ヒトミが持っている物を奪って
歩いて行ってしまうヒカルを慌てて追いかける

「手、繋げないじゃん」
「……そうだった」
「はい、一つ頂戴」
「キツかったら言えよ」
「はいはい」

ヒカルがヒトミに渡した方には
飲み物とかの重いものは入っていなかったので、
そこまで重くなかった

『ヒカルも気づかいを出来るようになったのですね』
「一応オレ、18だぜ」
「ウソ」
「本当、お前は?」
「私は……21」
「もう大人かよ」
「自分で口にして、イヤになっちゃったよ」
「仕方ねえよ。歳をとるのは当たり前なんだから」
「そうだけどさ」
「ま、そんなことより明日だ。
ヒトミ、帰ったら打てくれ」
「佐為じゃなくていいの?」
「うん、今日はヒトミの気分だから」
「わかった」

帰って早速ヒカルと打ってから夕飯を作り、
ゆっくりして早めに寝て、明日に備えたのだった。






2015/04/30




お手数をおかけしますが
120話から先を見る場合
こちらの名前変換をご利用ください
名前変換



118へ/目次へ/120へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ