隣にいる者4

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友達にすべてを話してからまた強くなったヒトミは
碁聖のタイトルを奪取していた。

どんなに忙しいときでも、
忘れることのない佐為たちとの思い出。

今一番打ちたい人は誰ですか?
と聞かれたら真っ先に思い浮かぶのは佐為だな。
なんて思いながら、
碁聖を奪取した日は眠りについた











































コンコンとノックをして、
病室に入ってきたのはヒカルだった。
ゆっくりとベッドに近づき、
眠っている人物に近づく

「おまえはいつまで寝るつもりだよ」
『ヒトミ……』
「もう少しで北斗杯の一次予選があるぜ。
オレが頼み込んでおまえも一応予選に出れるようにしといた」
『早く目を覚まさないと間に合いませんよ』
「今日はそれだけ言いに来た。また明日来るよ」
『また明日』

それだけ言ってヒトミの病室を出た二人。
ヒトミの前から佐為が消えた日。
佐為はあのままヒカルのところに戻った。

いきなり現れた佐為に驚いていたヒカルだったが、
ヒトミに知らせなくてはと思い、
電話をしたが繋がらなかった。
なので、家に行こうと思い駅に行ったのだが、その時悲鳴が聞こえた。

ヒカルと佐為は不思議の思い、人だかりに行くと、
そこには今会いに行こうと 思っていた人物が倒れており、
急いで駆け寄ったのはのは半年以上前だ

『おまえがオレのところに
戻ってきた理由もわからねえし』
『はい』
『あいつが目を覚ますまで待つしかねぇか。
どこも悪いところはねえんだから、起きるさ』
『ええ。待ちま……』
『佐為?』

途中で佐為の言葉が途切れたことを
不思議に思ったヒカルは振り向いたが、
そこに佐為はいなかった












































『あれ?ここはヒトミの病室。
何故私はここにいるのでしょうか?』

ヒカルの前から姿を消した佐為はなんと、
ヒトミの病室に戻ってきていた。
佐為があたふたしているときにヒトミの目が開いた。

それにも気づかず、
佐為は何故自分がここにいるのかを考えている

(佐為がいる……何でだろう?夢?)

目を覚ましたヒトミの視線の先には佐為がいて、
ヒトミは一生懸命頭を働かせていた

「……さ……い?」

自分から出た声は、掠れていて、
全く自分の声には聞こえない。
しかし、その声は佐為に届いたようで、
ヒトミを見てとても驚いている

『ヒトミ、目を覚ましたのですか?』
「さ、ました?夢……じゃ、ないの?」
『夢ではありません!』
「そっか……戻って、来たんだ」
『戻ってきた?』
「……」
『ヒトミ?ヒトミ!!』

再び目を閉じてしまったヒトミ。
名を呼ぶが全く反応はない。
また眠ってしまったのかと思い、
不安になっていたとき、病室の扉が開いた

「佐為、お前ここにいてのか」
『ヒカル!今、ヒトミが目を覚ましました!』
「本当か!?」
『ええ、でもまた目を閉じてしまって』
「ヒトミ!ヒトミ!聞こえるか!?」
「……ヒ、カル?」
「ヒトミ!おまえっ、やっと目覚ましたのかよ!」
「お、はよ」
「この馬鹿!」
「へへ」
「今先生呼んでくる!佐為はそこにいろ!」

病室から出て行ったヒカル。
泣きそうだったな、
なんて思いながらヒトミは佐為に笑いかける

『よかったです。本当に』
『私ね、もとの世界で
碁聖と天元のタイトル取ったんだよ』
『そうだったんですか。おめでとうございます』
『でもね、何か物足りなかったの』
『物足りなかった?』
『やっぱ、佐為たちがいないとつまんないや』
『ヒトミ……』
「南条さん!」

ヒカルと共に病室に入って来た医者と看護師。

ヒトミが目を覚ましていることに
ホッとした表情をして、検査の時間がかかるから
今日は帰りなさいとヒカルを追い出した。

佐為はヒカルとヒトミの二人に憑けるようになったので、
ヒカルから離れても大丈夫だった

(また、戻ってこれたんだ)

そのことが嬉しくて、
ヒトミは笑顔になってしまい、
医者たちに不思議な顔をされてしまった





2015/05/04


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