灰色の空に
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「なあ…」
「はい?」
「なんでお前がいるんだよ。」
俺とあおいの出会ったビル。そこになぜか京もいる。
「ズルいです、龍様。どうしてこんな綺麗な眺め、一人だけの秘密にしておいたんですか。」
「…うっさい。」
本当はあおいと二人の秘密の場所なんだが。そんなことはいわない。
「おまえ、いつまでいるんだよ。」
「龍様の恋人を見るまで帰りません♪」
「…邪魔すんのかよお前。」
「やっぱり。ここで会ってたんですね?」
「…クソ野郎…」
やられた。俺の秘密はいつも京にバレる。
「…今朝の宮本組の件もあるので、ひとりで出歩くのは控えてください。」
「龍様は私が、お守りします。」
「ああ、すまなかった。」
京はヤクザのクセに優しくて、イラつくこともあるけど、俺の大事な部下であり、親友なんだ。
「だが、俺をかばって死のうとか考えんなよ。」
「………はい。」
京は嘘をつくのがヘタだ。
「もうそろそろ…か。」
時計に目をやる。あおいがくる時間になった。