short
□零れるほどの愛を
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『蘭丸…』
しんと静まりかえった部屋に
一人の少女の声が響く
『蘭丸、好き好き大好き愛してる』
少女は目の前で倒れている少年に向かって愛を呟く
毎日…
毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日
少女は、ぐったりと
床に倒れている少年の頬に触れる
『蘭丸、何か言って?私寂しいよ』
少年は…霧野蘭丸は口を開かない
『やっと私のモノになったのに、これじゃまるで一人みたいだよ』
少女は、少年の頬から手を離し、歪んだ笑みを浮かべる
『蘭丸蘭丸、聞いて?私は貴方のモノをたくさん奪った、たくさん消した。私、反省してるよ?だから怒らないで?私とお話しよ?』
少女は続ける
耳の無い少年に向かって…
『でも貴方も悪いんだよ?私がいるのに、いっぱいいっぱい女の子と話すんだもん。私悲しいよ辛いよ痛いよ苦しいよ』
『私なんて、貴方を見るだけでドキドキして嬉しくなって可笑しくなりそうだった。貴方のぶつかったXX月XX日だって嬉しくて嬉しくて…でもダメね、それだけじゃ足りなくなっちゃったの』
悲しそうに、辛そうに
泣きそうな顔で少年を見下ろすのは少女では無いナニカへと変わっていった