猫の短い物語
□水道魔導器奪還編
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「此処が、モルディオの屋敷か……」
『(……ユーリ、分かっていると思うが……絶対に騒ぎを起こすな。)』
「いや、貴族街の門の前にいた騎士の奴らを石で気絶させた処で、騒ぎだと思うが……」
『(………はぁ)』
ユーリとラピードは、モルディオが住んでいる筈の屋敷に窓から入った。
暫くの間、屋敷の中を水道魔導器の魔核を捜して、二階の奥の部屋の手前に来た時、玄関ホールに顔を隠す程の白いマントを着た小柄な人が現れた。
「………」
そして、袋の中から水色の魔核を取り出した。
「………あれは。」
白マントが眺めているのは、先程まで捜していた下町の水道魔導器の魔核……
ユーリは二階から玄関ホールに飛び降りて白マントの背後に立った。
「それを返して貰おうか?……モルディオさん」
「!」
白マント……モルディオは驚いて、玄関扉から目を離した。
そして、ユーリがいることを知ったモルディオは逃げようとして玄関扉に眼を戻すとそこには、黒いフードコートに白い仮面を着けている人がいた。
モルディオは逃げられない事を悟ると煙幕玉を取り出して、床に叩つけた。
「『!』」
煙が晴れるとそこには、ユーリとライールだけが残された。
「チッ……逃げられたか…」
ユーリがモルディオがいた場所を忌ま忌ましく見ていると、ライールがモルディオから強奪した袋をユーリに突き出した。
『中身見てみろ。』
ユーリはライールから袋を受け取り、中身を見た。
そこには、水道魔導器を直す為に集めたお金などがあった。
『モルディオは探せばいい……今は、逸れを下町に届ける事が先だ。』
ライールの言葉にユーリは渋々頷いた。
(ライール……いつから人間に変わったんだ?)
[……ユーリが二階から飛び降りた時だ]