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□雪合戦
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*雪合戦*
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思えば今年の冬は寒かった。
キアランの騎士、セインは窓の外を見やりながらそう思った。
3月になり、春の陽気が顔を出すかと思えばこの雪である。
もう今年何度目になるかわからない降雪にセインはすっかり飽きていた。
そしてもう一つ、
この冬心底見飽きたものがある。
窓の外、降り積もる雪から目線を外すセイン。
雪の降る外から暖かい室内に風景を変えた彼の眼前には、背中。
「なぁ、ケントくん」
「………」
セインの相棒にして親友(とセインは思っている)
キアラン騎士隊隊長のケントはデスクワークに没頭し、返事さえしない。
「なぁ、ケント」
「………なんだ。今忙しいのだが」
セインは我知らずため息を漏らす。
この冬はずっとこんな感じであった気がする。
もともとセインは副隊長だが、書類云々の仕事が任されることはない。
(セイン自身は何故任されないのか知らない)
騎士隊の書類業務は全てケントに降りかかっているので彼は休む暇がないようであり、この冬じゅう書類たちとにらめっこしている。
こうなるとセインとしては面白くない。
なにせ大好きな親友の背中を一日中眺めるだけしかできないのである。
そうこうしているうちに春が来てしまう。
セインはなにか対策がないものかと、考えてみることにした。