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□Let's!恋バナ!
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○●○●○●○●○●



*Let's!恋バナ!*





「と、いうわけで、恋バナしましょ?」


マムートの宿の一室。



アンジュの突然の一言に一同唖然。



それもそのはず、なんの脈絡もない。






「えーっ…とアンジュ、いきなり何?」


エルマーナと一緒に床にごろりと寝そべりながらチョコフォンデュ(先程スパーダに作らせた)を食べていたイリアは顔をアンジュの方に向けた。



行儀が悪いことこの上無い。





「イリア、エル、座りなさい。……恋バナは恋バナよ。皆で自分の恋について語り合うの♪」


アンジュはそう言うと、床に置いてあったチョコフォンデュをテーブルの上に置き、備え付けてあるイスに座った。




「ほら、みんないらっしゃいな♪」





イリアとエルマーナは乗り気でない。



逆にキュキュはアンジュの向かい側のイスに座る。




「コイバナ…てなにか?楽しいか!?」


「もちろん、とっても楽しいのよ☆」



「だたらキュキュ、コイバナする〜!」




そんなアンジュとキュキュの様子を呆れた目で見ながらイリアとエルマーナはやっぱり乗り気ではない。



「ほんならアンジュ姉ちゃんとキュキュ姉ちゃんだけでしいや。うちらまで巻き込まんでも…」

「……エル、何か…言った……?」



「な〜んやイリア姉ちゃん!恋バナって話しするだけや〜ん♪めちゃ楽しいや〜ん♪」


「にゃにぃ!?エル、裏切ったわね!?」



そんなイリアにアンジュの魔の手が迫る!






「……イリア?」

「オホホッ…。さ、恋バナとやらを早くおっ始めませんこと?」





**********


「まずは(一番分かりやすい)イリアから聞こっかなぁ〜?」


「そやなぁ、(一番分かりやすい)イリア姉ちゃんの恋バナ聞きた〜い!」



最初のターゲットはイリアのようである。




「あたしぃ〜?べっつに好きなヤツなんかいないわよ〜」



イリアの目が泳いでいる。

イリアの好きな人などいちいちイリアの口から聞くまでもない。



「イリア、ルカ好き」


最初からトドメの一言を放つキュキュ。



「だーっ!!誰があんなヤツ!!」


「じゃあイリア姉ちゃん、どんな男が好みなん?」



エルマーナの質問にしばらく無言になるイリアだが、しばらくしてから、

「さぁ?」

と、だけ言ってみせた。




「イリアは素直じゃないわねぇ。……あら?もうチョコフォンデュのフルーツがないわ」



アンジュはそう言うと席を立ち、壁をコンコン叩いた。

隣の部屋は男性陣の部屋なのである。


アンジュはその壁に向かって、大声を張り上げた。



「スパーダくん!聞こえてる!?カットフルーツもう一籠用意して!」


目を丸くした女性陣。

その直後に壁の向こうから、くぐもった声。



『それぐらい自分で用意しろよな…』


壁の向こうから、ドタドタと音がする。





「あんな事言って、ちゃんと用意してくれるのよ♪」


「へ、へぇ〜…」



男に生まれなくて良かったと心底天に感謝するイリアとエルマーナ。



『チッ、かったりィな…』


『まあまあ、アンジュさんの横暴な要求は何時もの事だし。……じゃ、ボクも手伝ってあげようかな』


『いらね。こンぐらい簡単だし』


『ふふ…。ほら、遠慮しないで…?』




壁の向こうから声が漏れてくる。



「……コンウェイさん?聞こえてますよ!誰が横暴ですか!?」










**********


スパーダが籠一杯のカットフルーツを持ってきてくれた後、話が再開された。





「さてと、エルは飛ばして…っと」

「そうね〜。エルは飛ばして次はアンジュかしらね〜?」



アンジュとイリアはそう言うと、フォークにフルーツを突き刺しフォンデュし始めた。


「ちょお待ちぃや!なんでウチを飛ばすんよ!?」



初めこそやる気の無かったエルマーナだったが、やはりスルーされるのは気に入らなかったらしい。


そんなエルマーナを見て、キュキュが一言。





「…エル、シアンと文通してる」


それだけ言うと、キュキュはフォークに刺した苺を口に放り込んだ。



「うそやぁん…。何でバレてんのん…」


実はこの事実、男性陣にさえ認知されている。



故にイリアとアンジュはこれ以上エルマーナの話題に触れることはしなかった。





「で、アンジュはどうなのよ。やっぱりあのデコっぱち?」


「イリア、失礼よ?……確かにアルベールはお金持ちだし、顔はいい方だし、紳士だし、大人だし、優しいし、お金持ちだし、いい人よ♪」



「なにそれノロケ?」

「アンジュ姉ちゃん、金持ち2回言ったで……」




アンジュはしかし う〜ん、と唸った。




「でもねぇ、私、やっぱり彼はちょっと……」


「アンジュも高望みよねぇ。あのデコ、どこがダメなのよ?」



確かにアルベールはエリート中のエリートという感じで非の打ち所は無いように見える。……気がする。


そんなアルベールにケチを付けるなど高望みと言われても仕方がない。




「アルベールは本当に素敵な人よ?……でも、ちょっと……重いっていうか……」

「ああ、納得」



「それにね!私は、やっぱり若くてピチピチの男の子がいいの!」


「アンジュ姉ちゃん、それってショタ…」

「エ〜〜ル〜〜〜?」




「うわっ姉ちゃん目がマジッ……!ゴメンて〜〜〜!!」


「待ちなさいエル!!」












「エル、死んだか?」


「死んだわね。ほらキュキュ、今のうちにチョコフォンデュ食べてやりましょ」
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