頂き物・捧げ物
□レヴィン&シルヴィア stories
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気がつけば、辺りには誰もいなくなっていた。
「はぁ…はぁ…」
どうしよう、こんな所で迷っちゃった。誰か、誰か早く来て。
その言葉さえ形にすることもできず、ただ白い息が漏れるだけだった。
「(…はやく、皆に追いつかなきゃ)」
足が痛むのも構わず、おそらく仲間達がいるであろうザクソン城へと向かって走り続ける。
しばらくすると開けた道に出たが、そこが限界だった。
「……レヴィン…」
こんなときに出てくるのはやっぱり、愛しくてたまらない人の名前だけ。おかしなものね、と思わず笑みがこぼれた。
「ふふっ…」
襲い来る疲労感と寒さに引き摺られるように、そのまま意識を手放した。
* * * * * * *
気がつくと、ベッドの上だった。誰かがあたしをここまで運んでくれたのね、
それよりも状況はどうなっているのかしら、などと考えているうちに、人のやって来る音がした。
「だれ?」
「ようやくお目覚めになったようだな、俺のお姫様は」
返ってきたのはいつも通りのちょっとした冗談。けれどそれ以上に大切なのは、
「もう、ほんとにレヴィンったら」
ずっと心待ちにしていたその声が、今、あたしの傍にあること。