☆2杯目☆
□君のいる場所(2)
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side 32
「は?なに言ってんだよ。ナミさんはお前が好きなんだろ?」
マリモ何言ってるんだ?俺は思考が全て止まった。
ただ『本気で好きなの』とマリモに告白してナミさんの言葉だけ残し。
「やっぱり聞いてたんだな。あの倉庫の話。」
そうマリモは言いながらククっとのどで笑った。
「そう、確かにナミは俺に言った『本気で好き』だとな。でもな、あの話には前後があって、ナミは“お前が本気で好き”だと言ったんだ。で、俺にお前との関係を取り持つ協力を頼んできたんだ。それに対して俺は返事をした。」
ククっと再び笑いながらマリモは
「ただ、お前はいまさらナミの気持ちを知った所でもう手遅れだろうけどな。」
俺はマリモの胸ぐらに手を掛けると
「ならなんで、昨日2人でワザとはくれたりしたんだ?」
と迫ったが、
「わざとなんかはぐれてない。ナミが骸骨にビビッて泣きじゃくるから仕方なくおぶってやったらナミは背中で寝やがって、で俺は方向音痴だし先々走るルフィーとはくれて迷子になった。ただそれだけだ。」
マリモを掴んでいる手を一層強くし
「ならナミさんとは昨日何もなかったのかよ?」
と叫んだ。マリモは冷静に
「お前とは違うからな。何もなかったに決まってる。手離せ。」
と、眠いから寝ると言い残し部屋に降りて行った。
俺は後悔とナミさんを傷つけたショックからその場に崩れた。
「おはよう。コックさん。」
今日一番に食堂に入ってきたのはロビンちゃんだった。
「今日の朝食は何かしら?」
そう言いながら席に腰かけた。
いつもナミさんがそうするように、ロビンちゃんは新聞を覗きながら朝食を待っている。
「あ、ナミちゃんは気分が悪いみたいだから、朝食はパスですって」
ロビンちゃんは新聞を眺める目を俺に移し、呟いた。
「野郎どもー朝食出来たぞー!」
野郎どもを食堂に呼び、全員の目の前に食事を置くと、俺はナミさんの分の料理をトレーに乗せた。
「何してんだサンジ?」
ルフィーの問いかけに
「ナミさんにもっていくんだ。気分悪いみたいだから。」
そう小さく答えると
「かせ、俺が持っていく。」
とゾロがトレーを奪った。そしてそのまま食堂を後にし、女部屋に降りて行った。
俺はその背中を見つめて送り出すことで精一杯だった。
内心ゾロが持って行ってくれてホットした自分に嫌気がさす。
――ナミさんこそ、ゾロとお楽しみだったんだろ?―-
涙目のナミさんにどうしてあんな冷たいことが言えたのか。
ナミさんの気持ちにどうして早く気付いてあげれなかったのか。
様々な事が頭を駆け巡る
「ふふふ。コックさん、昨夜は楽しかったわね。」
その声を聞き我にかった俺は
「ロビンちゃん!?」
怒っているような、驚いたような何とも言えない声を掛けた。
「昨夜コックさんたら、私を好きだって言いながら抱いたのよ。ふふ。」
そう俺は好きだって言った。何度も。好きだって。何度も言った。
「サ、サンジ?!」
ウソップの声も、
「抱いたってなんだ?何するんだ?」
チョッパーの問いかけも、
「シシシ、サンジはロビンが好きだったのか!」
ルフィーの言葉も今は何も聞こえない。
聞こえるのは『本気で好きなの。“サンジくんが”』あの時のナミさんの声だけ。
俺はロビンちゃんを抱きながらナミさんに思いを伝えた。
何度も。何度も。あの言葉の返事をナミさんにしたんだ。