My Dream
□第二十章
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「え……?」
一瞬だけ、部屋の中が重苦しい雰囲気に包まれた。
『……だって、練習むちゃくちゃキツかったんですもん。もうこりごりですよ』
「あはは…」と雄作さんは笑っていたが、どうも私には笑ってごまかしてるように見えた。
しかしそれ以上深く聞くこともできずに、その話は終わった。
すると雄作さんは「あ、そうだ」と立ち上がり、洗面所へと入って行く。
戻ってきて、私に言った。
『由紀さん、お風呂入れたんですけど入りません?』
「…え?お風呂…ですか?」
『はい。風邪ひいてる時のお風呂って結構いいんですよ。入浴剤も入れたんで、よかったらどうぞ』
「じゃあ……入ります」
ベッドから体を起こすと、腰に痛みが走る。
「いたたたたた…」
『大丈夫ですか?』
雄作さんが近くまで来て私の腰をさすりながらゆっくりと起こしてくれる。
そして…
『よっと…』
「ひゃっ…」
そのまま私の体をひょいと抱き上げた。
…………俗に言う、お姫さま抱っこの形で。
「…………/////」
あまりの恥ずかしさとドキドキで、私の顔は真っ赤になっている。
『背中とか結構濡れてますね。汗流すのにもちょうどいいんじゃないですか?』
「………は……はい///」
私は、雄作さんの顔を見ることができなかった。
『…よいしょっと』
そして雄作さんは洗面所でゆっくりと私をおろした。
『大丈夫ですか?由紀さん』
「は…はい。ありがとう…ございます////」
『着替えは後でドアの前にバッグ置いとくんで、ゆっくり入ってください』
「わかりました」
雄作さんは「では、失礼します」とドアを閉めた。