My Dream

□第五章
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ガチャ、


『ただいま〜』

「お帰り〜」

家に帰ると、麻里ちゃんがソファーに座っていた。

『麻里ちゃんこそお帰り。三日間家にいなかったもんね』

「篠田がいなくて寂しかったでしょ?」

『や、そんな事はまったく無かったんで…』

「え、ひどっ!そんなにきっぱり言う事ないでしょ?」

『あ、そうそう。今度、地方でライブがあるでしょ?』

「ああ、あるよ。でもどうして?」

『今度、俺もそのライブに帯同する事になったから』

「え、そうなんだ。よかったじゃん」

『う〜ん、よかったのかどうかはよくわかんないけど、とにかくそういう事になったって事を頭に入れといて』

「りょーかーい」

麻里ちゃんは、そう生返事をしてから台所に入り、食事の準備を始めた。




しばらく待つと、麻里ちゃんが二人分の食事を持って台所から出てきた。

「雄作〜、ご飯できたよー」

『おー、サンキュー』

俺はソファーから起き上がり、食卓に座る。

「『いただきまーす』」

俺と麻里ちゃんは手を合わせ、箸を手に取った。

「そういえばさ、最近どうなのよ?」

夕食を食べていると、ふと麻里ちゃんが話しかけてきた。

『どうって、何が?』

「やだなぁ〜雄作ったら、とぼけちゃって」

そう言った後にニヤリと俺を見て、麻里ちゃんは言った。

「まゆゆだよ、まゆゆ」

『うぐっ………!?』

予想外の発言に、食べ物を喉につまらせる俺。

「あ、そのリアクション。何かあったな?」

『ゲホッ…、ゲホッ…、べ…別に…何もないよ…』

「そんな事はないでしょ?もう一ヶ月経つんだよ」

『ま…まあ、強いて言えば、仕事終わりによく一緒に買い物に行くって事ぐらいかな?』

「え?一緒に買い物に行くの?二人っきりで? 」

うわぁ…、すっげえにやけてるよコイツ…。

『まあ、二人っきりの時もあるし、三人とか四人とかで行く時もあるね』

「なぁ〜んだ。二人っきりじゃない時もあるんだ」

オイなんだ!?その残念そうな顔は!!確かに二人っきりじゃない時は俺も若干残念だけど。

「でも、もう一緒に買い物行くほど仲良くなっちゃったんだ」

『ああ、まあね。俺も彼女とは同じ趣味を持ってるからね』

とはいえ、未だに麻友さんの前に立つと、ドキドキして固まっちゃうけど…。

「あ、そんなに仲良いんだったらさ、今度の遠征の時のホテル、まゆゆと同じ部屋にしてもらえば?」

『………………は?』

思わず箸が手から落ちる。

何を言ってるんだ、この人は…?

「隣でまゆゆが寝てるんだよ?アンタにとってこれほど嬉しい事はないでしょ?」

『いやいやいやいや…、そんな事があったら俺が寝れないから!!』

「あ、そっか。隣でまゆゆが寝てたら、アンタまゆゆに何するかわかんないもんね」

『いや、そういう意味じゃねーよ!!』

「ははは、冗談だよ、冗談。だからそんなに赤くなるなって」

麻里ちゃんはそう言うと、食べ終わった食器を持って、台所へと消えていった。
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