My Dream
□第一章
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最悪だ…………。
こんな事になるとは思ってもいなかった………。
なんで…………どうして?
ただいま私、杉原雄作は、絶望の淵におります。
なぜかと言うと、大学受験に全落ちしてしまったから。
「それで、ショックのあまり、家を飛び出したはいいものの、結局どうする事もできなくて、篠田の家に転がり込んできたって訳か」
『うぅ……。うるさい。今は俺は何も考えたくないんだよぉ……。麻里ちゃん!牛乳もう一杯!!』
「はいはい…」
言いながら、コップに牛乳を注ぐ麻里ちゃん。
勢いで家を飛び出した俺は、行くあてもなく、結局、親戚である篠田麻里子の家にかくまってもらっていた。
『んっ……んっ……んっ………ぷはぁ〜!!』
そして、今は、やけ酒ならぬやけ牛乳を飲みながら、麻里ちゃんに事情を話していた。
「まったく…、牛乳でこんだけやけになれる人って、そうそういないよ」
『しょうがないだろー!俺は今、モーレツに悲しいんだから!』
「そんなに悔しいんだったら、浪人して、また挑戦すりゃあいいじゃない。一浪だったら、全然問題ないでしょ?」
『そこまでして行く程の物だとは思ってない』
「はぁ〜、まったく…。これだから夢も希望もない人間は…」
麻里ちゃんは、テーブルにほおづえをつきながら、嘆息する。
そう、俺には、将来これがやりたいとか、あれになりたいとかいう夢や目的がまったくないのだ。俺は、そういう事を大学で見つけようと思って、大学受験をした。
『やっぱり、最後は夢や目的を持ってる人間が勝つんだな…』
牛乳を飲みながら、俺が言う。
「でもさ、浪人もしないでこの先どうすんのさ」
『働く』
「働くって、どっか雇ってくれそうな所あんの?」
『ない。だから今から探す』
「まったく…、アンタって人は本当に昔からいきあたりばったりなんだから。そんなんじゃ、社会ではやっていけないよ!!もっと真面目に考えなさい!!」
麻里ちゃんはテーブルを叩き、怒鳴った。
『わかってるよ…。俺も、一生懸命仕事探す。それで、さっさと一人で暮らすよ』
「雄作……」
俺はテーブルを立ち、荷物をまとめて、玄関へ向かう。
『ごめんね、麻里ちゃん。いきなり押しかけて』
そう言って俺は、ドアノブに手をかけた。