My Dream

□第三章
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はぁ…恋かぁ…。

麻里ちゃんの言う通り、俺、渡辺さんの事、好きなんだな……。

しかし参ったなぁ…、これって一目惚れって事だろ…。

俺は次の日、仕事をしながらそんな事ばかり思っていた。

そして、仕事が終わり、戸賀崎さんの部屋へ行く。

ガチャ、

部屋に入ると、戸賀崎さんは、何やら男の人と話していた。

「おお、杉原か、どうした?」

戸賀崎さんは、俺に気付いたらしく、声をかけた

『あ、戸賀崎さん、ステージの掃除終わりました』

「おお、そうか。じゃあ、今日はあがっていいぞ」

『はい、わかりました。ところで、そちらの方はどちら様ですか?』

「ああ、この人は、秋元康さん」

『秋元康って…、あの秋元康さんですか!?』

「おお、さすがにお前も秋元さんは知ってたか」

『はい、そりゃ有名な人ですから。てか、なんでこんな凄い人がこの劇場にいるんですか?』

「ああ、この人がAKBの生みの親だからね」

『え?そうなんですか!?』

驚く俺に、秋元さんが近づいて、話しかける。

「話は聞いてるよ。君、篠田の親戚なんだってね。これからよろしく頼むよ」

『はい、わかりました!!では、話の途中にすいませんでした。自分はこれで失礼します』

そう言って俺は、部屋を出た。


……つっても、まだ時間早いんだよな。これからどうしよ。

そう考えていると、前方から人がやって来た。

「あ、杉原さん、こんにちは」

『…柏木さん』

その人は、柏木さんだった。

『あれ?今日は何もないですよ?どうしてここに?』

「あ…いや、それは、その…」

『?』

俺が話しかけると、おどおどする柏木さん。

「あ…いや、なんでもないです。今日はちょっと寄ってみただけですから…」

『はあ、そうですか…』

「で…では、私はこれで…」

そう言うと、柏木さんはそそくさと去って行った。

どうしたんだろ、柏木さん…。

俺は不思議に思いながらも、劇場を後にした。



少し近くの店に寄ってから家に帰ると、麻里ちゃんは、仕事で家にいなかった。話によれば、晩御飯までには帰るとのこと。

俺は、ワンコを抱きながら、ソファーに座り、テレビをつける。

チャンネルを適当にまわしていると、ふと、あるチャンネルで俺の手が止まる。

そこにうつっていたのは、渡辺さんだった。


あぁ…、渡辺さん、見てるだけで癒されるなぁ…。

これが恋なのか…。

テレビを見ながら、そんな事を延々と考えていた。
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