My Dream
□第九章
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『あぁ〜、気持ちいい〜〜〜』
大島さんから逃れた俺は、その後風呂に入って、今はマッサージチェアに揺られていた。
しかし風呂上がりのマッサージチェアというのはなんでこんなにも気持ちの良いものなのだろう。
こんだけ気持ちいいとついうとうとと………
「あのっ」
『うぉっ、びっくりした』
マッサージチェアを止めて呼ばれた方を見ると、そこにいたのは……
「は…はじめまして、杉原さん。私、SKE48の松井珠理奈って言います」
『あぁ、君は確か…』
そういえばAKB以外にもなんちゃら48って付くグループがたくさんあって、このライブに集まってくるって事を戸賀崎さんから聞いていた。
『はじめまして。君の事は他のメンバーからよく聞いているよ。まだ高一なんだってね』
言って俺はチェアを立ち、握手をしようと、左手を差し出す。
それを見た彼女は笑顔で俺の手を握る。
「あの……杉原さんって、ほんとにカッコいいんですね」
『あ、どうも…』
「私、AKBのメンバーの皆さんからよく話聞くんで、ずっと会いたかったんです!」
満面の笑みでそう言う松井さんに若干照れる俺。
『ありがとう、そう言ってくれるとうれしいよ』
「あの、私の部屋この真上なんで、よかったら遊びに来てください!」
『ああ、時間があったら行かせてもらうよ』
「ほんとに、約束ですからね?」
『わかってるよ』
俺のその言葉を聞いて、ピョンピョンと跳ねる松井さんを見ると、顔立ちは大人っぽいけど、なんだかんだで高一なんだな。と思う。
『じゃあ松井さん、また明日のリハーサルで』
そう言ってその場から離れようとすると、「あの…」と呼び止められた。
『どうした?』
「SKEって松井が二人いるんですよ。だから、できたら名前で呼んで欲しいなぁって…」
『名前?』
「あ、いや、できたらでいいんですよ。できたらで」
そう言って慌てる松井さんを見て、俺は少し笑って、彼女に言った。
『わかった。じゃあまた明日な。珠理奈ちゃん』
そう言って彼女の左肩を軽く二回叩き、俺はその場を後にした。
「おーい、珠理奈ー」
「珠理奈……ちゃん…………////」
「ダメだ玲奈。完全にトリップしちゃってる」
「うーん、そうか……」
「どうする?」
「よし、部屋まで運ぼう。ちゅり、手伝って」
「はぁ、やっぱりな……。りょーかい」