My Dream
□第十章
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ピピピピピピピピピピ…
パチッ、
目覚まし時計を止め、ゆっくりと体を起こす。
一つ伸びをしてからベッドを立ち、洗面所で歯ブラシをくわえて、再び戻る。
そして、雄作が寝ているベッドを見る。
雄作はまだ眠っていた。
ま、起こすにはまだ早いし、ゆっくり観察でもしてましょうかね。
篠田は雄作のベッドを覗きこんだ。
そして、ある光景を目にする。
おやおや…。
ベッドの中では雄作がすやすやと寝息をたてながら、枕を抱いていた。
はは〜ん、さてはコイツ…
篠田はニヤリと笑って、さらに様子を見る。
すると、雄作がごそごそと動き出した。
『……き………だよ…』
ん?寝言か?なんて言ってんだろう?
雄作が発する小さな声に、篠田は耳をそばだてて、さらに近づく。
『大すき………………だよ。…………俺が…………守って……あげる』
「ブッ………!!」
ちょ…、なに言ってんだコイツ!?鼻から歯みがき粉出そうになったわ。
雄作はそんな寝言を言ったあと、満面の笑みで枕をさらに抱きしめた。
「ぷっ……、……くくくっ」
……ヤバい、おもしろい。おもしろすぎる。
吹き出しそうになる歯みがき粉を篠田は必死で押さえ、肩を震わせていた。
さて、この雄作の寝言劇場、本当ならもっと見ていたい所なのだが、時間が時間なので、仕方なく起こすことにした。
「おーい、雄作ー」
かけ布団を取り、篠田は声をかける。
『ん…………麻里ちゃん……』
篠田の声に反応はしたが、まだ完全には目が覚めていない様子。
「起きろ雄作、それは枕だ。「ま」しか合ってないぞ」
『………ん?…何を言って……』
そう言って雄作は体を起こすと、自分が抱いている枕を見、そして篠田を見る。
「おはよ、雄作」
そんな雄作に、篠田は満面の笑みで言った。