短編 黒篭
□例えば
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*伊月side*
例えば。
目も合わせてないのにパスが通ったり。
点が決まると、やっぱり目も合わせてないのに出した手が触れたり。
俯いてると、何も言わずに頭に手を乗せてくれたり。
タオルを渡すと、柔らかく笑ってくれたり。
スポドリ奪って飲むと、怒るより『間接キス…!//』焦ったり。
お昼に誘うと、『仕方ねぇなぁ』って言いつつ顔が緩んでたり。
それで二人きりだと、ものすごく甘えてきたり。
ふと顔を向けると、目が合ったり。
顔には出してないつもりだろうけど、俺が誰かと絡んでるとおもしろくなさそうにしてたり。
じゃれてるだけのつもりだったのに、視線が熱を帯びはじめたり。
歩くとき、すっ、って当たり前のように手が繋がれて、指を絡められたり。
そしてそれだけで少し赤くなってるくせに、
「じゃあ、また明日」
「………あぁ。」
離すときは、とても物足りなそうな顔をしてたり。
そんな、些細な変化だけど、
俺はすごく幸せになるから。
「………日向!」
「ん?」
自分の帰途を歩き出す君を呼び止めて近付いて、
チュッ
「!!」
「//////じゃあ、………ね?」
ありがとうと、
大好きを、
君に伝えよう
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