短編 黒篭

□8月15日
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8月15日。


日向クンを連れ出して、公園に行ったんや。最初こそ抵抗しとったけど、結局いつものように日向クンが折れて。


別にすることもあらへんからブランコに座って二人駄弁っとった。
やっぱり夏は嫌いだゆう日向クンを宥めがら。



したらいきなし日向クンが「あ、」って声上げて走り出すから何や思たら日向クンの先にいたのは猫。

追っかける日向クン見ながらほんま猫好きやなぁなんて思とったら、道路の方に逃げ出した猫を追っかけてった。







青に変わった信号機

角を曲がるトラック



パァ――――!!!



クラクションの音とブレーキ音が、耳に突き刺さる。






紅に埋もれる日向クンと、何もなかったかのように向こう側に居る猫。





日向クンが守った猫。



日向クンを殺した猫。








ゆらゆら揺れるカゲロウが、




恍惚とした表情で嗤ってた







END



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