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□君から貰った物は甘過ぎて
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 隣の芝生は蒼く見えるとはよく言ったものだ。昼食として綱吉が隣で食べているパンが美味しそうに見える。彼が食べているのは、何の変哲も無いチョコチップスナックパン。本当に何の変哲も無いけれど、彼が食べている物は何でも美味しそうに見えてしまう。

「ヒバリさんのお昼、いつも鮮やかですよね。ヒバリさんが自分で作っているんですか?」

 僕の視線に気が付いた綱吉は、僕の弁当を覗きながら話し掛けて来た。三色飯、ミニハンバーグ、卵焼き、茹で野菜…。いつもと大体同じ弁当だ。

「いや。いつも草壁が作って来る」
「えっ!?草壁さんが!?す、凄い…」
「綱吉こそ、いつもは弁当なのに、今日はパンなんだね」

 いつも母親お手製のバランスの良い弁当を持って来る綱吉が、今日は珍しくコンビニのパンを持って来た。

「あ、いえ…今日は、母さんが熱を出したんで…」
「…君の家には居候が居ただろう?」
「い、いえいえっ!!ああああの人は……り…料理が出来ないので……」
「ふーん?居候のくせに役立たずだね」

 咬み殺してあげようか?そう訊くと、母親の手伝いで役に立っているから、と綱吉は慌てて首を横に振った。

「ふーん…。つまらないの」

 そう言うと、彼は苦笑した。そしてスナックパンを銜え、散らかっている昼食に食べたパンの袋達を、コンビニ袋に突っ込んだ。
 綱吉の口に銜えられているパンは、やはり美味しそうに見える…

「…綱吉」

 声を掛けると、彼は手を止めて此方に顔を向けた。純粋に疑問符だけを浮かべた様なその瞳を見るより先に、彼の口から飛び出しているスナックパンにかぶり付いた。綱吉は驚いて思わず身を退いた。その拍子にパンは千切れ、殆どは僕の元に残った。

「っな、ななな…っ!?」

 何しているのか、とでも訊きたいのだろうが、彼は驚き過ぎてな≠ゥら先が言えなく為っていた。一口目(さっきかぶり付いた処)を咀嚼、嚥下してから口を開いた。そのパンは、綱吉が美味しそうに食べるのも解る位美味しかった。

「君が食べているのを見ている内に、僕も食べてみたく為ってね」

 そう言って残りを口に入れると、綱吉は、はっとして、あー!!、と声を挙げた。

「最後の一本っ…!!」
「……。…口を離した君が悪い」
「ううっ…俺のチョコスナック…」

 ガクリッと肩を落とす綱吉。その姿に流石に僕も罪悪感を覚えた。

「…綱吉…」
「…はい?」

 途中迄咀嚼したパンを口に含んだまま呼び掛けると、涙目で振り向いた綱吉。その肩とうなじを掴んで、唇を塞いだ。

「!!?」
「……」
「…っ!んんっ!…っふ…ん……?」

 ゆっくりと口を離す。うなじを掴んでいた手は肩に置き、綱吉の様子を見守った。抵抗しようと押して来た彼の手は、僕の胸の上に乗せられたまま。頬を赤く染め、眉を八の字にした彼は、驚いた様に僕を見た。僕が直接口に移してあげた物の正体に気が付いた様だ。

「…あのっ…こ、これ…」
「クスッ…甘い?」
「あ…は…はい……」

 僕が口移ししたのは、彼から奪ったチョコチップスナックパン…の咀嚼しかけた物。赤く為って俯いてしまった綱吉の耳に口を近付け、そっと囁いた。

「…君の口の中も甘かったよ」
「…ー…っ!!」

 綱吉は、耳の先迄赤くし、僕の胸に置いていた手で服を掴んで、胸に額を埋めて来た。僕はその背中に腕を回した。

「ず…狡いですよ、ヒバリさん…!」
「クスクスクス…。…可愛い君が悪い」






























君から貰った物は過ぎて

(心臓が)
(理性が)
(持ちそうにない)








 ぎゃーーー!!なんて破廉恥な!!すみませんすみません!!雲雀さんが、なんか若干変態に…!!…いや、BLって時点で、若干壊れる事は、覚悟してはいたのですが…(ノ_<。)
 最初にこのネタが浮かんだ時、XSでヤろ(( やろうかと思ったのですが、スクには可愛い反応が望めなく、又、どちらかというと喧嘩に為る…、とボツに為り、綱吉を置いてみた処、ぴったりだったのです!相手は考える迄も無く、雲雀さんに即決しました。後から考えてみたのですが、他の人にしなくて本当に良かったです。
 Ex1.骸。……た…唯の変態にしか為らないです…っ!Σ( ノд<。)←「変態とは何ですか!?失礼な!」
 Ex2.獄寺。…役立たずなヘタレめ…←「俺はヘタレじゃねぇ!!」
 Ex3.山本。……。君の理性に関しては、全くと言っても良い程に信用を置いていない。故にBLでは余計な脱線をする恐れが否めぬ。「ははっ。そんな事しねぇよ」
 Ex4.その他。論外←「まさかの!?」
 …という検証結果に、我ながら苦笑いしか浮かびませんでした。嗚呼…6927と1869も書きたいです…。…趣味丸出しですね(苦笑)





2013.07.09

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