友達(仮題)
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「屋上はやっぱ気持ちいよねー」
望月が、両手を広げて深呼吸する。
暖かい春の風が望月の髪を優しく撫でる。
そんな望月にみとれていると、いきなり膝かっくんをされて、しゃがみこんでしまった。
「っにすんだよ、零華!」
「あんたさー、もう少し気をつけてたら?」
「は?」
零華はおれと同じようにしゃがみこみ、小声でいった。
「そんな顔してたら、姫ちゃんのことが好きなのバレバレなんですけど」
「なっなんでそれを!?…………あっ!」
今まで誰にもいってなかったのに、勢いで言ってしまった。
「何年の付き合いだと思ってんの。零のことなら見てればわかるよ」
そう言って零華はその場に立った。
後ろから視線を感じて振り返ると、彰と森がニヤニヤしながらこっちを見てくる。
いや、正確には彰が。森はよくわかんないけどこっちを見てるだけに見える。
「あいつらにはバレたくなかったんだよなー、うるさくなるから。ま、主に彰だけど」
「そんな顔してるから、バレるんだよ。さっ、みんな昼食食べよ」
「まだ時間あるけど、そろそろ戻る?」
昼食を食べ終わったが、まだ昼休みの時間は残っていた。
「おれはまだここにいるわ」
「ん。わかった」
おれはもう少し風にあたりたかったから、ここにいることにした。
「えーっとじゃあ………わたしももうちょっといようかな」
零華はおれを見たあと、少し微笑だ。
「あたしは教室に戻るよ」
「授業に遅れないようにしろよー」
彰がそう言い残すと、みんなは教室に戻って行った。
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