小説
□【続編2】満月の夜
3ページ/4ページ
「いや?本気やで」
「…ッッ/////!!!」
空は怪しい笑みを浮かべて蝶左の顔に掌を伸ばして来た。
「蝶左…」
空の指が蝶左の顔に触れ、輪郭を
なぞる。
蝶左の体が小さく震える。
空の指が蝶左の顎をとらえるとそっと顔を寄せてくる。
蝶左は動くことなくその行為を受け入れた。
ちゅ…。
誰にも邪魔されることなく二人の唇が触れあう。
一度軽く触れてから二度、三度と繰り返す。
そして、ゆっくりと、どちらかともなく離れ、隣り合わせで壁に背中を預ける。
二人の距離は手が触れるか触れないかである。
「…」
「…」
さっきとは違った沈黙が暫く二人の間に流れた。
「…そろそろ。寝るわ…」
「…おぅ」
空が静かに立ち上がりそう告げた。
寝所に戻ろうと空が動きだそうとすると、
「あ…」
ぐっと着物の裾が引っ張られた。
「…なんや?…」
「…いや、なんでも…ないワケ」
蝶左は裾を掴んでいた手を離した。
空はまた歩きだし、離れからのかどを曲がる途中でふと振り返った。
「蝶左」
「?」
「続きはまた今度な」
「…なっ////!!?」
「愛しとるで蝶左♪」
「っ!!さっさと寝るワケ!!」
無邪気に笑って空は言ったそれはもう嬉しそうな笑顔で。
「…一体なんなワケ。調子狂う////////」
顔から湯気が出そうなほど赤くなりながら蝶左は呟いたのだった。
―end―
次ページあとがき→