忍たま

□綾部→→→滝夜叉丸
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泣く、泣く、途方もなく、泣いて、ただ、止めどない涙を流し続けた。

おかしいな。

悲しい筈なのに。

全く声が出ない。

喉を押さえる。

熱い。痛い。辛い。

悲しい時くらい声を出して泣けばいいのに。叫び出してしまいたいのに。

こんな時に全く声がでない。でるのは掠れた呼吸音だけで。

悲しい感情を吐き出すことができない。

こんな時でさえ僕の顔は無表情を作り上げ、まるで心と伴わない。

僕の心を写すように雨が降りだした。

あぁ、これで少し安心した。

雨に濡れれば涙の理由も聞かれない。

泣いてることなんて誰にもわかりはしない。

わかってたんだ。


きっと、僕は誰にも愛されない。


きっと、僕は誰とも結ばれない。


だから、滝は僕以外の人に愛を伝える。

その柔らかな唇で自慢の髪で滑らかな手で肌で、

僕にも見せたことのない表情で。



僕以外の人を

君は愛してる。



愛する人にだけ見せる優しくて綺麗な笑顔…。

僕にとってはただ残酷に現実を突きつける。

君は僕のものにはならない…と。

どうして、君を好きになったんだろう。

どうして、愛してしまったんだろう。

一度、溢れ出した思いは涙となって
冷たい頬を伝わる。

僕の思いは誰にもいえず、ただ僕が君を愛してそれゆえに傷付いた。

僕だけが知っている想い。

このまま

消えてしまえたら

僕は、どれほど楽になるのだろう。

このまま全てを忘れて

別の人を愛せたら、どれほど楽になるのだろう。

滝。滝。滝。滝。滝滝滝滝滝滝滝滝。

僕はどうしたらいいの?




僕はもう君しか愛せないのかな―――――――――――――――。


End
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