稲妻11

□思わず愛してみたくなる君
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「オレって、奥手なのかな」



突然リュウジが告げてきた、自分で解らないのかと言いたくなる言葉。
もじもじと私の様子を伺うリュウジは確かにまあ奥手と言われれば奥手だ。

そうかもねと返すと「やっぱりそうなのかな…」と落ち込みだした。
というかそれって、彼女に聞いていいのか?


「なんで急にそう思ったの?」

「……この前、ヒロトに言われたんだ」


『リュウジって奥手だよね』って。

まあそりゃヒロトの積極的さに比べたらリュウジなんて草食系男子かもね。
そう言ったらますます落ち込んだ。


「……そんなに草食系とか奥手って言われるの嫌なの?」

「…………」

ベッドでゴロゴロしながらそう聞くけど、返事は無い。
ただの屍とまではいかないけど心此処に在らずと言った感じだ。
なんかリュウジの部屋なのに私だけゴロゴロしてるのが悪い気さえしてくる。
リュウジと横に並ぶよう座りなおすとびくりと肩が揺れているのがわかった。


「(まあこの様子じゃヒロトがそう言いたくなるのも解らなくも無いかな……)」



黙り込んでしまって動かなくなったかと思うと、突然ベッドから降りて私と向き直る。
立つ彼と座る私に必然的に出来るその差を埋めるべく、彼を見上げる。
ごくり、と唾を飲み込む音が聞こえたかと思うと、
瞬きをしたほんの一瞬だけ、彼の温もりが私に触れた


「…………リュウジ」

「……顔見ないで何も言わないでお願い」


顔を真っ赤にして私の肩に顔を埋める彼からは
先程の男らしさなんて微塵も感じさせなかったけれど、
それもまた彼の魅力なのだと、小さく笑った









思わず愛してみたくなる君







(そんなところも好きなんだよ)








***

I want your kiss様に提出
素敵な企画に参加させて頂きありがとうございました!


201201

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