稲妻GO

□ボクは賞味期限切れ
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人は成長するものだ。
結果がどうあれ、その成長は戻らない。

良かったとしても、悪かったとしても。


「あっ、あれ烈斗くんじゃない?」
「それよりあっち!流くんだよ!」


「…………」

昔から、小さい時に可愛いと将来カッコよくなるとか、
小さい時からカッコイイと将来はあんまりよくないとか
諸説あるけど、僕は今どちらに分類されるのだろうか


「吹雪くん!」

「あ、真都路さん」

「さっき女の子が探してたべ」

「女の子……?」


珍しいな、高校生を卒業した辺りから
女の子とは縁がなくなったと思っていたのに
とんだ物好きも居たものだ

まあ、用件が僕が想像している物とは違うかもしれないけど



「……想像以上だった」

『え?何が?』

「ううん、なんでも。……久しぶりだね、しおりさん」

『うん、久しぶり!』


想像以上で、ある意味では想像以下だった。
まさか、彼女と今会えるとは思っていなかったから。

彼女と会ったのは……確か、学生時代にサッカーの試合をしたきりかな。


「どうしてここに?」

『うあっ?!い、いきなりそれ聞く…?』

「うん、普通じゃないかな」


確かにそうだけど、と唸る彼女は何処か顔が赤く見える。
僕の気のせいなのか、それとも寒さで風邪を引いてしまったのか。


「立ち話もなんだし僕の家に寄っていかない?」

『え…えぇええ?!いいいいや結構です!他の女子たちとは違うよ私は!』

「……他の女子?」

『あ。いや、その……』


黙り込んだまま、下を向く彼女。
もしかして、僕に用があったんだろうか。
そう告げてみたら、図星だったようだ。


『じ、実は、吹雪くんに言いたいことがありまして……』

「うん」

『そ、その、む、昔から……ずっと…』

「……?」

そう言ったきり喋らない彼女。
あとで言われたが、これで気付かないなんてとんだ鈍感野郎なんだそうだ

そしてしばしの沈黙が流れたあと、
叫ぶような言い方ながら、小さな声でこう言った。



『……すっ……………好きです!!』

「………!」


その言葉は、僕にとって時効を迎えてしまいそうな想いだった。
だからなのか、その言葉をすぐに受け入れようとして上げられなかった。

「………僕の狙い時は終わったんだ」

『………え…?』

「……今は、昔みたいに女の子に好かれるような外見じゃないよ」

『……吹雪くん』

「僕は賞味期限切れだよ」

自分で言ってて哀しくなってくる。
これじゃあ僕はあの頃の鬱な心と同じままじゃないか。

そうは思うものの、口は止まらなかった。


「いいの?」

『……姿なんて関係ないよ。私は、"吹雪士郎"が好きなの』


それに、消費じゃないならまだ大丈夫!
そういって彼女は、にこっと笑った。
彼女の笑みは昔と変わらず、あどけないままだった。


「……ありがとう」






ボクは賞味期限切れ

(あの頃よりも)(幸せだけど)










***

ぶっきーどうしてグレちまったんだい……
そしてこんな会話絶対しない


20110921

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