稲妻GO

□大切なただの幼なじみ
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「きゃー篤志かっこいー!!」

「ほらよ」

「どうもー」


ぱたぱたと喜んで駆けて行った彼女を見て、
その場に居たサッカー部員はもれなく唖然とした。


「……南沢さん、なんすか今の」

「今のってなんだよ」

「だから、今のやりとりですよ」


倉間と浜野がそう問いかけるものの、
南沢さんはさもこれが当然で通常かのように不思議そうな顔をした。


「南沢さん、どうして褒められただけで突然数学のノートを渡したんですか?」

「そりゃああいつが数学の宿題貸してくれって言ったからだろ」

「……つまりしおりさんが南沢さんにああ言う時は決まって宿題を貸して欲しいってことですか?」


まあそうだな、としれっと言う南沢さんに、
質問をした神童と要約した霧野は困った顔をした。
加えて「ていうか勝手に下の名前で呼んでんじゃねえよ」なんて言われれば尚更だ。

「……南沢さんって………」

「ちゅーか、報われなくね?」

慌てて倉間が浜野の口を塞ぐと、霧野は南沢にこう尋ねた。


「南沢さんは、哉音さんのことどう思ってるんですか?」

「ただの幼なじみだよ。……大切な、な。」


彼女が走っていった方向を見つめてそう力なく呟いた彼からは普段の余裕さと威厳を感じさせず、
この人もまた普通の恋する少年なのだなと、その場に居た霧野だけが思った。





大切なただの幼なじみ

(気付くのはどちらが先か)








***

となり様に提出
素敵な企画に参加させて頂きありがとうございました!



20110128

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