雑記的な物
□Let's go.宝探し
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この宇宙のどこかに、所々にファンタジー的な要素を持った、剣あり魔法ありモンスターあり、ついでに携帯電話やパソコンもあったりの、つまりなんでもありな世界があった。
その世界の片隅に緑に囲まれたのどかな村があった。
そこに暮らすユウヒという名の少年がこの物語の主人公である…。
「さて…今日はなにをしてすごそうか…?」
ユウヒは見習いの魔法使いだった。
通信教育で魔法を学びながら田舎でのんびり暮らす十六歳だ。
今日はとくにする事もないので、お気に入りの盆栽の手入れでもしようかと年の割にジジ臭い事を考えながら彼は朝食の後片付けをしていた。
けれどそんなユウヒの耳に外から玄関のドアを叩く音が届いた。
「ん? なんだ…こんな朝早くから…?」
不思議に思いながら彼が玄関の戸を開けると、そこにはピンク色のワンピースを着た可愛らしい金髪の少女が立っていた。
「あ、おはようユウヒくん!」
「…………」
ユウヒは無言でドアを閉めた。
「待って待って、閉めないでよ〜」
「…………ふぅ」
明らかに迷惑そうなため息の後、仕方なくユウヒは少女を中に招き入れた。
少女の名はアリス、近所に住む十歳の女の子だ。
「それで、いきなりなんの用だ?」
お茶とおせんべいを出しながらもユウヒは警戒する。
アリスはユウヒの天敵だった、いつも変な事件を持ち込んで来てはユウヒの事を巻き込んでいる。
つい先日も伝説のキャラメルドラゴンとかいう胡散臭いモンスターを一緒に探しに行って遭難しかけたばかりだ。
「あのね、これ見て」
と言ってアリスは一枚の紙を差し出した。
一瞬、特売のチラシかなにかかと思ったが、そこに描かれていた物を見てユウヒは顔を引きつらせた。
「こ…これは…!」
それは、あからさまに胡散臭い宝の地図だった…。